4月からの始まった図書館通いの熱は冷めず、漢方医学や医療関係の本ばかり読んでいます。文庫本よりもちょっとお高めで気軽に買いにくい。絶版に近い状態の本もあり、すっかりハマっています。なので、本屋さんで買うことも少なくなってしまったこの頃ですが、ずっと専門書ばかり読んでいるのも疲れるので、気分転換に文庫も挟んでいます。

・カナリア外来へようこそ  仙川 環

「処方箋のないクリニック」でも話題の仙川さんの本。今回は化学物質過敏症(香害)・夫源病・低周波騒音・味覚障害・光線過敏症・シックハウス症候群を題材にして過敏症外来を立ち上げた無愛想な女医さんを主人公にした話。どれも大きく取り上げられることはないですが、化学物質過敏症は日本では10人に1人がなんらかの過敏症を抱えていると言われています。仙川さんは当事者の方ほお話や書籍を参考になさって書かれたので、巻末に参考文献が掲載されています。

仕事柄、匂いのあるものは避けて生活をしてますが、過敏症の方は匂いがなくても成分に反応することもあるそうです。想像し難いほどの苦労かと。最近は診断や相談に乗ってくれる医療機関が増えています。ただ、自覚症状が主なのでご自身でも原因が分からないままの中で理解が得られず、心を病んでしまう状態になることも多いそう。この本から少しでも理解しようを思ってくださる方がいるといいなと思っています。

・わたしのマトカ  片桐 はいり

片桐さんの著書、3作品のうちこれが最後の本。映画「かもめ食堂」の撮影でフィンランドに滞在していた時のお話。マトカはフィンランド語で”旅”を意味するそうです。片桐さんの本を読んでいると分かるのですが、ガイドブックに載っているような有名どころはほぼ出てこず、その場所の日常生活を切り取ったような話題がほとんどでその場所で生活したことのあるような気になってしまいます。(実際、長期滞在だったので生活をされていましたが。)

10年以上前にここまでフィンランドの日常に近いエッセイが発行されていた驚き。北欧エッセイの先駆けだったのかも?と思ったり。片桐さん、また本を書いて下さらないかしら・・・すっかりファンです。

・かもめ食堂  群 よう子

片桐さんの本を読んだ後、すっかり忘れてる、読まなきゃ!と再読。最近の小説ではなかなか見かけない手頃な厚さの文庫です。一人の女性がフィンランドでお店を開くとちょっと訳ありの日本人女性が一人、また一人とやっています。そして常連の日本アニメ好きの青年。ドタバタがありつつ、テンポよく進むストーリーに没頭してあっという間に読み終わってしまいました。日常の延長線にあるような物語なので、気分転換にもってこいな本でした。

映画はまだ観ていないので、誰がどの配役なのか知りませんが片桐さん以外にも好きな女優さんが参加されているのでこれから観るのが楽しみです。シナモンロールをお供に観ようと思います。

・院内カフェ  中島 たい子

作家でカフェ店員である主人公。このカフェは病院内にあるカフェ。そこを舞台にした2つの夫婦のお話がメイン。もう1人のカフェ店員とよく来店する医師と患者も交えたちょっとシリアスな物語です。健康と病気によって夫婦間のかけ違いからどんどん溝が深まっていく。原因のはっきりしない不妊に悩む夫婦間の考え。それぞれの心の機敏をゆっくりと丁寧に書かれているのでどこかで共感できる部分はあると思います。医師と患者、もう1人のカフェ店員は物語の中でいいアクセントになっています。読み終わった後、皆さんはどんな想いを抱くでしょうか?

著者である中島さんの本でで一番初めに読んだのは”漢方小説”。久しぶりに開いてみると巻末の参考文献に三浦於菟先生の著書が載っていました。三浦先生の文体は読みやすくて、特に「東洋医学を知っていますか」はおすすめです。この本については、来月ご紹介します。

今週末は私にとって、1年に1度必ず参加している古本まつりが開催。どんな本に出会えるか、ワクワクしています!

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