暮れも差し迫ってくると、今年の年越しそばはどこにしようか?と考え始めます。かけそばに大根おろし・刻みネギ・もみ海苔など皆さんはどのようにして食べられますか?お蕎麦といえば、七味唐辛子。お蕎麦屋さんで必ず見かける香辛料です。

そんな『七味唐辛子』は、漢方薬でも使っているものを多く配合しています。

・七味唐辛子の中身

厳密な決まりはないですが、”七味”の名前の通り、唐辛子を主に7種類の素材(生薬)を組み合わせた香辛料です。老舗の原材料では、唐辛子・山椒・胡麻・麻の実(種)の4種類が共通しています。

唐辛子:【蕃椒】辛味性健胃・鎮痛・血行促進

山椒:【山椒】温中(お腹を温める)・抗菌・止痛・芳香性健胃

胡麻:【胡麻】滋養・通便・抗酸化・抗炎症

麻の実(種):【麻子仁】緩下

この4種類だけでも、胃腸の機能に役立つのが分かります。

左から、山椒・胡麻・麻子仁。それぞれ、大建中湯・消風散・麻子仁丸などの漢方処方に使われています。唐辛子はさすがに使いませんが・・・もし処方に入っていたら調剤するのが大変な気がします。

・日本三大七味唐辛子

やげん堀:唐辛子、焼唐辛子、山椒、黒胡麻、麻の実、陳皮、けしの実。

東京・浅草。古くからある”やげん堀”というお店は”薬研堀”という地名が由来で、薬種問屋が多く集まっていた場所です。(薬研というのは生薬を砕いて粉末状にするための道具です。)漢方薬から着想を得て開発。当時は七色唐辛子(なないろとんがらし)という名で売られていた。

八幡屋礒五郎:唐辛子、山椒、胡麻、麻の種、陳皮、紫蘇、生姜。

長野・善光寺。長野の特産品を江戸に運ぶ商人が、地元に帰った時に売るために江戸の商品を持ち帰り、その中にあった”七味唐辛子”で商売を始めたのが始まり。当時の手に入りやすい原料で作り替え、現在の組み合わせになったそう。

七味屋:唐辛子、山椒、白胡麻、黒胡麻、、麻の実、青のり、青紫蘇。

京都・清水。清水寺への参拝客に”からし湯”(唐辛子を浮かべた白湯)を振舞ったお店。”七味”唐辛子という名称は関西が始まり。他の老舗に比べると、辛みや苦みが控えめで辛みの苦手ない人にはオススメ。

(↑今年も八幡屋磯五郎さんの七味唐辛子。いつか他の老舗の物を試してみたい。)

浅草・酉の市に毎年通っていた頃、屋台では小気味良い口上に合わせて七味唐辛子を作っている様子をよく目にしました。冬になると温かい鍋物や汁物、お蕎麦に欠かさず食卓にある調味料。中身を知ると薬膳としても、より一層体に染み渡る気がします。

今年は”薬膳”という言葉が流行語大賞にノミネートされました。最近では医食同源の言葉が日常生活でも取り入れられるようになり、現代の”食”の見直しに一役買ってくれることを願いたい。

年末年始の食卓に、手軽な”薬膳”はいかがでしょう?

M