今年も早くも真っただ中です。今日はあいにくの空模様でしたが、明日以降は五月晴れが続いていて気持ち良い天気の予報です。
先週のブログでは『薬局 ーARIと百日咳ー』について。咳に対して使う処方の中で、興味深い論文を見つけたので今回はその処方についてお話を少し。
ーーー竹茹温胆湯(ちくじょうんたんとう)です。

(↑チクジョを忘れました)

(↑チクジョです。竹の皮。)
効能効果:体力中等度のものの次の諸症:かぜ、インフルエンザ、肺炎などの回復期に熱が長引いたり、また平熱になっても、気分がさっぱりせず、咳や痰が多くて安眠できないもの
構成生薬:サイコ、チクジョ、ブクリョウ、バクモンドウ、ショウキョウ、ハンゲ、コウブシ、キキョウ、チンピ、キジツ、オウレン、カンゾウ、ニンジン(13味)
この中で馴染みのない生薬が”竹筎(チクジョ)”。竹の節と節の間の空洞の部分の内皮を使います。化痰止咳薬の内、清化熱痰薬に分類。
(※”筎”は”のみ・のめ/まきはだ”と読み、竹の内皮を砕いて柔らかくし船の水漏れ防止に用いるもののこと。)
サイコ・オウレンは胸部の熱を去り、バクモンドウ・キキョウ・チクジョで鎮咳去痰、ハンゲ・チンピ・ショウキョウ・ブクリョウ・カンゾウは二陳湯の構成生薬で胃腸機能を改善する処方。キジツは理気薬で胸の痞えを取り気を巡らせる働き、ニンジンは補養薬で消耗した体力を補う働きがあります。
生薬別に効能を見ていくと、風邪や慢性病で体力が落ちていて微熱が続き、治りにくい咳や痰の症状やそれに伴う不眠に使うことができるのがわかります。
また、麦門冬湯の構成生薬と被っているところが多いのも使い分けの特徴になると思います。
原本は万病回春です。
「傷寒、日数過多、其の熱退かず、夢寐寧からず、心驚恍惚、煩燥痰多く、不眠の者此方之を主る。」
ここの文章から、風邪を引いて数日経ち熱がこもって〜・・・、胸苦しく痰が多い、・・・と書かれています。咳に対して使っていたのがわかります。
最近の百日咳のニュースから見つけた論文がありました。あまり馴染みのなかった処方である”竹筎温胆湯”が注目されたのは、実は5年ほど前のコロナ感染の後遺症で長引く咳の症状に有効との報告がされてから。それよりも前から取り組んでいた医師の論文です。百日咳は割と身近な感染症なので、毎年ある程度の感染者が出ていてこの処方に注目した医師の着眼点に関心しました。
文献:「竹筎温胆湯(ちくじょうんたんとう)を用いた百日咳のせき治療、及び百日咳の早期診断法の実践」/「漢方と最新治療」2020年8月25日号(第29巻第3号:通巻114号)に掲載
埼玉県・三郷市にある「みさとファミリークリニック」の医師の、2017年〜2018年にかけて竹筎温胆湯単独治療の症例や百日咳に対する取り組みが論文として掲載されました。早めにこの処方を単独もしくは併用することで即効性が期待でき症状の改善が見込めます。拗らせた風邪で咳が残った場合に麦門冬湯にもう一手!と言うときに使えそう。この処方が2025年の今、医薬品不足の問題が未だ解消しない医療現場の助けになってくれる漢方薬になるのではないかと思っています。
明日からGWも後半。今日はあいにくの雨でしたが、明日からは日差しが戻り天気が良さそうです。5日は端午の節句。鯉のぼりが気持ちよさそうに泳ぐ景色を横目に、年に1度の柏餅をこれでもかと堪能しています。

(↑今年は初めて道明寺の柏餅をいただきました。いつもと違う食感でこちらも美味しい)
GW休業:5/3〜5/6
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