まだまだ暑さが続く9月。”暑さ寒さも彼岸まで”という言葉は通用しない気候になってきたのでしょうか。先月は冷房病や冷飲食の摂り過ぎによる冷え対策に『人参湯』をご紹介しました。
同じ”ニンジン”が主薬になっている処方を今月もご紹介します。
ーーーー『茯苓飲』(ぶくりょういん)

効能効果:体力中等度以下で、吐気や胸焼け、上腹部膨満感があり尿量減少するものの次の諸症:胃炎、神経性胃炎、胃腸虚弱、胸焼け
構成生薬:ブクリョウ、ビャクジュツ、ニンジン、ショウキョウ、チンピ、キジツ
身体に溜まった余分な水分を捌くブクリョウとビャクジュツ、胃腸機能の改善にニンジンとショウキョウ。そして気の巡りをよくし詰まりを解消するチンピとキジツが配合されています。チンピとキジツは”理気剤”に分類され、気の滞りを解消し機能失調を改善する働きがある生薬が理気剤に分類されます。(理:ととのえる、おさめるという意味があります。)
よく聞かれるのが、『六君子湯』と『茯苓飲』の違い。どちらも構成生薬が似ていますが、茯苓飲は”理気”(気の滞りを解消)の力、六君子湯は”補気”(気を補う)の力を持つ生薬が多く含まれているのがザックリとした違いになります。また、過剰な服用でよく注意喚起されているのが”カンゾウ”という生薬ですが、『茯苓飲』には含まれていないため使いやすい処方として『六君子湯』の代わりに処方する先生もいるそうです。
『六君子湯』の構成に近づけるには”ハンゲ”を加えた『茯苓飲加半夏』という処方もあります。ハンゲは湿(痰飲)を乾かす力が強力で、加味することで吐き気や嘔吐の症状がある場合によく使われます。
処方どうしを組み合わせる合方には、『茯苓飲合半夏厚朴湯』があります。ストレスや精神的に揺らいでいる方で胸や喉の痞えを感じる時に『半夏厚朴湯』を使いますが、それだけで効果がイマイチな場合や胃腸の調子も悪い場合には合方にしてみるのも一手です。
※『茯苓飲加半夏』は保険診療としての処方はないので、『茯苓飲』+『小半夏加茯苓湯』の組み合わせになります。『茯苓飲合半夏厚朴湯』はツムラ116番です。

(↑ハンゲ カラスビシャクの塊茎をスライスしたもの/ 別名へそくり:農家の女性が仕事の合間に集めてお小遣い稼ぎをしていたということに由来しています。)
・『六君子湯』についてはこちら↓
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