今年も早いもので残り3か月。少し涼しさを感じるようになってきましたが、まだ半袖を仕舞うのを躊躇ってしまう気温に衣替えはいつになるのか・・・。

夏から胃腸の薬についてご紹介してきましたが、今回は胃腸だけでなく全身の不調に使える処方をご紹介。よく使われる『補中益気湯』はご存じの方も多いと思います。

ーーーーー『十全大補湯(じゅうぜんたいほとう)』

効能効果:体力虚弱なものの次の諸症:病後・術後の体力低下、疲労倦怠、食欲不振、寝汗、手足の冷え、貧血

構成生薬:ニンジン・オウギ・ビャクジュツ・ブクリョウ・トウキ・シャクヤク・ジオウ・センキュウ・ケイヒ・カンゾウ

『十全大補湯』『四物湯』『四君子湯』+ケイヒ・オウギ

(↑四物湯。補血と活血の生薬の組み合わせ。)

補血と補気の処方を基本にした気血どちらも補ってくれる処方。『四物湯』『四君子湯』を合わせた処方には『八珍湯』という名前がついています。ここに、循環改善・補陽の効能を持つケイヒに補気の効能を持つ黄耆を加えることで補う力を更に強化しています。

(↑四君子湯。有名な補気の処方。ショウキョウとタイソウを抜いた生薬が十全大補湯の構成になっています。)

処方名から、十全には完全な・欠けのない、大補は充分に補うという意味があり、全身の機能低下状態を補ってくれるということが分かります。

『十全大補湯』のような”参耆剤”には”虚労”という言葉をよく見かけます。虚労とは、慢性疾患により身体の機能が衰えた状態のことを指します。この状態の時に使うのが”参耆剤”というニンジンやオウギ入った処方です。慢性化した疾患の多くは、治るための機能が衰えている・不足していると考えられるので、”補う”生薬の入った処方を基本にします。

『十全大補湯』から、(-)センキュウ(+)ゴミシ・チンピ・オンジという加味方をすると、『人参養栄湯』という処方になります。

ゴミシ・チンピ・オンジはどれも肺を強化する効果もある生薬なので、慢性呼吸器疾患の場合にも使います。また、がん治療の副作用軽減・ドライアイ・貧血・男性不妊などの臨床効果が期待されています。高齢者の場合は八味地黄丸を使うことが多いですが、心肺機能が衰えている場合はこの処方を使うことで全身状態の改善に役立つと思います。

【余談】

上記で説明した『十全大補湯』『人参養栄湯』と『補中益気湯』は疲労感・倦怠感の症状に挙げられる処方として有名です。名前から何となく想像が出来ますが、『補中益気湯』は補気作用に加えて全体的に弛緩した状態を引き上げる効果があります。

『十全大補湯』と『人参養栄湯』はどちらも補気補血作用と、前者は気を補う力を強化し、後者は肺の機能強化の処方と簡単な使い分けができます。貧血や皮膚の乾燥がある場合はこちらの方が良いと思います。

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