10月の連休は京都で学術大会が行われ、余った時間で以前から行ってみたかった”灘”まで足を延ばしてみました。

なぜ、”灘”に行きたかったのかーーーー。

以前に行った広島・西条とつながりのある場所・・・”日本酒三大酒処”と言われているところだからです。ついに2カ所目を訪問となりました。

灘は『灘五郷』という5つの地域に分かれていて、神戸市灘区から西宮市まで広い範囲に酒蔵が点在しています。(西条はほぼまとまったところにあるので半日歩いて散策できるくらいの広さでしたが、灘は電車で乗り継いだり、観光バスを使わないと回りきるのは難しい。)

西郷~御影郷~魚崎郷~西宮郷~今津郷の5つの郷からなる灘。

(↑西郷~魚崎郷までの地図)

限られた時間の中で、回れたのは・・・

・白鶴酒造

販売所が併設された2階建ての資料館。日本酒造りで使用している道具が大小さまざま展示されています。4升樽や2升瓶・4升瓶など今では見かけない保存用容器や酒器なども展示されています。販売所の一角には有料試飲コーナーがあります。

・菊正宗酒造

白鶴酒造からおよそ5分ほどで2か所目。入口すぐに掛けられた大きな看板は圧巻です。こちらも販売所が併設された資料館があります。2階には日本酒造りが放送されているビデオブースと色々なお猪口やぐい飲みが展示されています。こちらも販売所の一角に有料試飲コーナーがあります。

・日本盛酒造

西宮駅から少し離れた住宅街の中にあります。販売所とレストランが併設された建物。原酒の量り売りがされていて純米酒・吟醸酒など数種類が選べるのは有難い。ガラス工房もあり、購入や体験もできるそうです。日本盛は化粧品やスイーツなど日本酒以外の商品も豊富でした。

どの酒造所も歴史が古く、資料館を設けて日本酒造りの成り立ちを見学できます。(見学は基本無料、内容によっては予約が必要な場合があるので要確認。)数ある施設の中で3施設だけ回ることができましたが、十分満足できる施設見学になりました。今度は五郷それぞれ1つずつ巡ってみたい。

剣菱酒造にも立ち寄りたかったのですが、見学施設や販売所は設けていないそう。剣菱のお酒はどこにでもあるわけでもなく、気づいた時には探すのが一苦労。方々を探して地元の酒屋さんに行きつきました。

(↑執念の末にようやく見つけた"剣菱 灘の生一本”)

・”灘の生一本”とは?

灘の生一本は、毎年秋に灘五郷の酒造組合に所属する酒造から発売されます。今年は沢の鶴・剣菱・白鶴・櫻正宗・浜福鶴・白鹿・大関の7つの酒造所から販売。全国的にこういった取り組みをされているところは珍しく、灘酒を盛り上げようという熱意を感じます。

”生一本”とは、混じりのない純粋な日本酒のことで、「清酒の製法品質表示基準」において「ひとつの製造場だけで醸造した純米酒」とされているそうです。平成の始めまでは、日本酒の生一本は”灘の生一本”を指していたそう。

購入した”剣菱 灘の生一本”は黄金色をした見た目で、長期間熟成された場合に色味が変化していきます。熟成された日本酒を”古酒”といいますが、明確な規定はなく、今年の”剣菱の灘の生一本”は2018年醸造なので古酒の分類に入ります。日本酒は原料の違いやお米の磨き具合でも名称が変わり、純米酒や吟醸酒などの種類が多くなります。そして熟成の期間でも味わいが異なるため、のめり込むとそれはそれは大変な世界です。

(↑日本酒にハマっていた時に買った本たち。今も時々開いては楽しんでいます。新しく買い足そうか悩み中。)

西条の日本酒は甘口、灘の日本酒は辛口が多い。まろやかな味わいは西条、スッキリとした後味は灘。次は京都・伏見。いつになるか、すぐ行くことになるか・・・そう遠くない時期に行きたいと思っています。やはり”ひやおろし”の秋ごろになるでしょうか。楽しみです。

【余談】

白鶴酒造には『酒と恋には酔ってしかるべき』の著者はるこさんの色紙がありました。日本酒好き(特にカップ酒)の女性のお話で様々な日本酒が出てきます。その他の日本酒漫画は『夏子の酒』や『日本酒に恋して』もおすすめです。

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