少し前のX(twitter)で触れましたが、今年10月より医薬品を先発品希望の場合に負担金が増えるという話題。勉強も兼ねて記事にしておこうと思います。
この話題には”選定療養(せんていりょうよう)”という医療制度を知っておく必要があります。
選定療養とは、入院した際の差額のベットや着替え、紹介状なしでの受診など、基本的な部分以外を選んだ医療については保険がききませんよ、ということです。
参考資料:保険診療と保険外診療の併用について|厚生労働省 (mhlw.go.jp)
「保険がきかない部分と、保険診療を一緒にすることって混合診療では?」と疑問が出てきます。
ここでは保険外併用療養として、評価療養と選定療養に分けられており、それぞれ項目が明確に決められています。その項目に該当する場合に限り保険診療との併用が可能になります。
保険診療って知らないことが多いですね。そして、複雑・・・
今回の導入制度は、長期収載品の選定療養といい、ジェネリック医薬品を勧めているので先発品を希望する場合は一部の理由を除き、選定療養の範囲に入れるので負担して下さい。ということになるようです。
つまり、「保険負担額+選定療養の負担額=窓口支払額」になります。
計算方法を箇条書きにすると↓
①選定療養費は薬価差額※の1/4が負担額。
②長期収載品薬価(希望した薬の薬価)から負担額(①)を除いた残高が保険給付分。
③保険給付分に保険負担割合を掛けた額が、保険での自己負担額。
④負担額(①)×1.1 ← (実は、選定療養分の自己負担は保険給付外のため消費税がかかります。)
⑤自己負担額は③+④
箇条書きでの説明、難しい。ざっくり説明すると↓
「保険給付分(長期収載品薬価-薬価差額×1/4)×負担割合+選択療養分(薬価差額)×1/4×1.1(消費税分)=窓口支払額」
ざっくりとした説明ではなくなってしまいました。書いてて不安になるほど、説明の難しい計算方法です。
※薬価差額とは、長期収載品の薬価から後発品の中で最高薬価を差し引いた額です。後発品薬が複数のメーカーで製造されている場合はメーカーによって薬価が異なり、どの薬価を当てはめるのか議論になっていましたが、結局その薬の後発品の中で最高薬価を選定することになりました。
更に、全ての先発品が該当するわけではなく、対象医薬品リストが公表されています。細かい字で18ページ。
→ 対象医薬品リスト:001247591.pdf (mhlw.go.jp) 厚生労働省Hpより
・・・ここは、製薬メーカーや卸メーカー各々、その他サイトで関連した資料に助けを求めて!!そちらを参考にされると良いです。(この程度の説明が限界です。解釈が異なる場合はお知らせください・・・)
以上、ざっくりとした10月から導入される制度に関する説明でした。
今までは薬価だけの話なので、その他診療報酬は別で算定されます。条件によって薬の価格を決めるだけでも一苦労。ややこしい上、面倒でもあるので「医療上の必要あり」として対処する医療機関もありそう・・・なんて気もします。良くないですが。
保険薬局の薬剤師を飛び出してから、診療報酬はますます細分化され、改定される度に項目が増えています。
最近の処方せんを見ましたが、保険薬局で働いていた頃よりも項目が増えていました。ただでさえ確認するところが多く、またフォーマットが変わるのか・・・(再び保険調剤をすることになったら見落とししそうで不安です。)
現段階でこの導入制度は、どこまで浸透しているのでしょうか?
時々処方せん薬をもらいに行くくらいであれば、気が付かない程度の支払い差額かもしれませんが、定期的に処方せん薬をもらっている方は大体の価格は把握されている方が多いです。そういった方に周知し、分かりやすく説明するにはどうするか。対象になる薬も決まっているので、全てに該当するわけではないからこそややこしい・・・(負担金が変更になると、たまーに、なぜなんだ!とお怒りになる方もいるので説明のたびにビクビクしていたのを思い出します。)
経過措置の期間が設けられているようですが、始まるのは10月。薬局内での準備や医療機関との連携などなど・・・まだまだ周知不足な中、残り3か月ちょっとで始めるには時間が足りないような気がします。
今は保険調剤から離れていますが、現状を知っておくことは必要です。取り残されないように、これらの情報を把握し理解するのも一苦労でした。渦中にいる友人らの奮闘はまだまだ続きそうです。
最後に一言・・・保険診療の計算はコンピューターの有難さを改めて感じます!
梅雨入りはそろそろのようですが、連日の暑さでアイスに手が伸びました。勉強で熱くなった頭にちょうどいいです。
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