立春が過ぎ、暦の上では春になってきました。先日の雪で徒歩通勤をしていた時に、梅の花が咲いているのを見つけました。赤と白の花が雪に映えて心和む景色でした。
そんな春に悩まされるのが、『花粉症』
この時期はよく小青竜湯が出ます。葛根湯加川芎辛夷も。花粉症と言えばまずこの処方が出てくる。どちらも温める効果のある処方です。
辛夷清肺湯や荊芥連翹湯を使うこともあります。こちらは冷ます効果のある処方。
(余談:辛夷(シンイ)という生薬はコブシのこと。ハクモクレンよりも小ぶりの白い花をつける街路樹を見たことがあると思います。その花の蕾の部分。鼻詰まりなど、鼻のトラブルの薬です。)
また、小太郎漢方より麗沢通気湯加辛夷も販売されています。こちらにも辛夷が入っていますね。新型コロナ感染症や花粉症の鼻症状に使われる先生方もいらっしゃるようです。
(↑これが、辛夷です。毛のようなものが見えますが、フワフワしていてとても軽いです。)
今回はそれ以外で花粉症にも使われる処方ーーー麻黄附子細辛湯について。
(↑3種類の生薬を組み合わせた処方、左からマオウ・ブシ・サイシン)
効能効果:全身倦怠感があって、無気力で、微熱、悪寒するもの:感冒、気管支炎(コタロー)、悪寒、微熱、全身倦怠、低血圧で頭痛、めまいあり、四肢に疼痛冷感あるものの次の諸症:感冒、気管支炎(ツムラ)
構成生薬:マオウ、ブシ、サイシン
この処方は薬局製剤ではお作りすることはできませんが、OTC薬もしくは処方せん薬で製造・販売されています。
鼻水やくしゃみは冷えが原因の場合が多いので、この処方は元々冷え性の方の花粉症対策として有効です。冷えのきつい方や高齢者の風邪の時に使用されるケースがあります。マオウは解表薬(辛温)、ブシは温裏祛寒薬、サイシンは解表薬(辛温)(漢薬の臨床応用 参考)に分類されています。1つ1つの生薬で考えてみても、温める力のある生薬構成になっているのがわかります。
(余談②:ブシはトリカブトのことで、植物界で最も毒性の強いアルカロイドを含有しています。ただし、ここでは炮附子といって減毒加工されたブシで、安全性の高い状態にしているものを使用しています。)
花粉症と深い関係があるのが、冷えと水毒。冬の間に冷えてしまった体は巡りが悪くなりがちで滞った水分は鼻水や浮腫みにつながります。冬にしっかりと対策をとっておく事が症状を緩和させる方法の1つです。また、食事の影響もあります。アレルギー体質の方は和食を中心とした食生活に切り替えるだけでも変化があると思います。
私の場合は、乳製品や甘いものを摂り過ぎるとアレルギー症状が出やすくなる体質。毎年1月半ば頃から摂り過ぎに注意し、冷え対策は以前お伝えした通り。(1年中気をつけられればいいのですが、好きなものは我慢し過ぎると辛いので。)
心がけるようになってから数年が経ちますが、今では症状があっても薬を飲むほどではなくなってきています。自分に合う対策を見つけるだけで春の生活が変わります。何より、薬代も節約できて一石二鳥!
この時期は色々なサイトで花粉症対策について情報が出ています。今からでも遅くないので、どれか取り組んでみるといいと思います。
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