今年は特に遅い梅雨入りでしたが、本当に梅雨なのかな?と思うほど関東の雨は今のところ少ないような・・・後半になると変わってくるのでしょうか。
先月は湿度による痛みの対策に薏苡仁湯をご紹介しましたが。水分代謝は消化器(胃腸)の機能にも密接に関係しているので、ご紹介する処方の他にも色々ありますので参考までに1つ。今月は湿度による消化器症状の対策の処方です。
『平胃散』 へいいさん

構成生薬:ビャクジュツ、コウボク、チンピ、タイソウ、カンゾウ、ショウキョウ
効能効果:体力中等度以上、胃がもたれて消化が悪く、時に吐気、食後に腹が鳴って下痢の傾向のあるものの、次の諸症;食べ過ぎによる胃のもたれ、急・慢性胃炎、消化不良、食欲不振
平胃散は、胃(胃腸)を平らにするという漢字から、健胃効果がある処方です。(平らというのは整えるという意味が近いです。)
食欲不振やだるさなどでよく使われる”ニンジン”がこの処方に入っていないのが面白いところ。
ニンジンは分類でいうと補気剤や補養剤で、ここでは気を補う必要がない状態ということが分かります。それでも食欲不振に効果があるのです。
ビャクジュツ、コウボクやチンピで水分代謝の改善や胃腸機能を立て直して、タイソウ、カンゾウ、ショウキョウで胃腸機能のサポートをしています。特に、胃腸症状にコウボクやチンピはよく使われます。水分代謝が胃腸に影響を与えていることは処方からも読み取れます。
一時期は「1日2L以上の水分摂取を!」と言われていましたが、水毒体質の方には過剰になりがちです。どんな方でも水分は2L摂取すればいいわけではないので、ご注意下さい。
そして、平胃散には加味方があり、その名も『加味平胃散』
消化剤として知られる、シンキク、サンザシ、バクガが加わった処方。
タンパク質・脂質・炭水化物の分解をサポートしてくれるので、水分代謝の他に、食ベ過ぎによる症状もある方に効果のある処方です。(小太郎漢方さんから『参楂神』という商品はこの3つで構成されています。当店でも取り扱い可能です。興味のある方はご相談ください。)
よく考えてみると、消化剤はありますが、こういった作用のある西洋薬はなかなか思いつきません。
検査しても異常はないけれど、自覚症状はある。(検査で自覚症状は測れないので、数字でみる検査では異常が出ないのです。)そんな時は、漢方薬や鍼灸など東洋医学を検討してみてはどうでしょうか。
今の季節、何となく体が重く感じたら、もしかすると水分代謝に注意が必要な状態かもしれません。この季節はただ水分補給をするだけでなく、こういったものを上手く取り入れて乗り切ってほしいと思います。
最近は、エキス剤の問い合わせが増えてきているので、少しずつ取扱商品を増やしています。「次の受診までのつなぎ分だけ欲しい」、「使ってみたいけど近隣で取り扱いがない。」など、一度ご相談下さい。

(↑取り扱いを始めた商品の一部です。随時拡大中。)
「今の症状には、どんな漢方が合うのか。」知りたい方はお気軽にどうぞ。
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