前回に続き、植物園の話題。今回は撮影した植物にどんな特徴があるのかご紹介。すべてが高山植物ではないので、身近な場所でも見ることがあるかもしれません。
・コマクサ
高山植物の女王とも呼ばれる。昔から健胃・鎮痛薬として腹痛に使われてきましたが、乱獲により今では希少な植物になりました。ケシ科コマクサ属に分類され、全草にアルカロイドを含むため中毒症状を引き起こすことがあります。薬であり、毒にもなる植物。
・ムラサキバレンギク
別名:エキナセア 免疫力を高める作用があるとされる最近注目のハーブ。和名は「紫馬簾菊」、火消しの纏に似ていることからバレンという名称が付いたそうです。大きめの花なので目につきます。
・タテヤマウツボグサ
ウツボグサの仲間で、こちらは高山に生息する植物。タテヤマは「立山」のこと。
ウツボグサは生薬名で『夏枯草』利尿作用や淋病(膀胱炎・尿道炎・腎炎など)の薬として使われます。『車前子・草』のオオバコと一緒に、症状の軽いうちはお茶にして飲むと良いです。セイヨウウツボクサは「セルフヒール」というハーブ名。効果は似ていますが、違う植物。
・コオニユリ
鮮やかなオレンジで、背も高くよく目につきます。この植物によく似ているオニユリは球根部分を「ゆり根」と呼ばれ、生薬名は『百合』。鎮咳、潤肺作用があり、辛夷清肺湯の構成生薬の一つ。
・カライトソウ
花穂が猫じゃらしのように見える植物。漢字では「唐糸草」、唐糸は絹糸のことです。名前からも柔らかさを感じます。日本原産のワレモコウの仲間です。
・ヨツバヒヨドリ
蜜に毒を持つ珍しい高山植物。ヒヨドリバナの変種ともいわれ、秋の七草であるフジバカマによく似ています。ヒヨドリが鳴く頃に咲く花なので、名前に由来のヒヨドリが入っています。植物園では7-8月の花とされていますが、この時期に限らずどこかでヒヨドリの鳴き声を聞いている気がします。
・シモツケソウ
こう見えてもバラ科の植物。シモツケソウに似たセイヨウナツユキソウという植物はアスピリンの原料になる成分が初めて発見されたもの。
・メコノプシス・グランディス
ヒマラヤの青いケシ。ヒマラヤブルーと呼ばれ、高山植物であり栽培の難しい植物。残念ながら実物を見ることはできませんでしたが、ガラスでできたオブジェを代用。
ケシ聞いてと思いつくのが”あへん”。あへんはケシ科ケシ属ケシの花からとれる成分。ケシ自体が栽培禁止の植物です。同じケシ科でもこちらはメコノプシス属の分類。分類が違うため、違法な栽培には当たりません。
植物の分類は、「生物→ドメイン→界→門→綱→目→科→属→種」で分類されます。同じ科の植物でも似てないものの、学術的には同じ分類だったり・・・驚くことも多いです。ケシ科ケシ属にヒナゲシ(ポピー)がありますが、種が異なるのでこちらも栽培は問題ない種類です。
他にも色々写真に残してきましたが、名前がはっきりとわからないものばかり。名前も記録しておけばよかった・・・載せた調べた植物も、もしかしたら違う可能性もあるので、参考程度にしていただくのが良いかと。
今回調べてみると、高山植物の多くは絶滅危惧、もしくは特別保護に指定されているものが多くみられました。
生薬も10年20年前は使えていたものが保護対象になったり無くなってしまったものがあります。今も使えたら・・・と思うこともあり、漢方薬が見直されてきている今、原材料の植物の保護や栽培も見直されたらな、と思います。
<参考資料>
・薬になる植物 第Ⅰ、Ⅱ集 佐藤潤平
・ココロとカラダに効く ハーブ便利帳 真木文絵・池上文雄
・白馬五竜高山植物園 ホームページ
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