ようやく秋も深まり、涼しさを感じるようになってきました。秋と言えば、食欲の秋。昔よりも旬を迎える野菜や果物が早くなったように感じますが、秋は好きな食べ物が多いのでウキウキしています。そんな中、夏疲れを引きずっているような感じも。
最近では「秋バテ」という言葉がこの時期耳にするようになりました。夏バテの秋バージョン。
ある勉強会で、病気は腹からくる。まずは腹を立て直す。という先生がいました。どの季節も胃腸と健康は直結しているな、と感じます。今回も、胃腸の不調に効果のある処方をご紹介。
ーーー 『不換金正気散料』 ふかんきんしょうきさんりょう
(↑カッコウが欠番でした。残念。)
↑カッコウ(引用:生薬単 改訂第3版より)
効能・効果:体力中等度で、胃がもたれて食欲がなく、時に吐き気があるものの次の諸症:急・慢性胃炎、胃腸虚弱、消化不良、食欲不振、消化器症状のある感冒
構成生薬:ビャクジュツ、コウボク、チンピ、タイソウ、ショウキョウ、ハンゲ、カンゾウ、カッコウ
不思議な名前ですが、金に換えられないほどの値打ちのある処方という意味。この処方、以前ご紹介した平胃散の加味方と言える構成生薬です。
🌿平胃散について → こちら (今月の漢方 ー7月ー)
不換金正気散は、平胃散にハンゲとカッコウを加えた処方です。タイソウ・カンゾウ・ショウキョウは平胃散よりも分量が多くなっています。この3種類の組み合わせは胃腸の保護に重要な組み合わせなので、平胃散で症状の改善がイマイチの場合におすすめできる処方です。
今回の処方で特徴的なのが「カッコウ」という生薬。ハーブ名は「パチョリ」といいます。健胃作用のほかに、湿を除き鎮吐作用もあります。男性用の香水で使われることが多く、意外と馴染みのある香りです。
7月から胃腸のトラブルに対応した処方を関連づけてご紹介してきました。胃腸のトラブルは漢方薬の得意とする分野の1つでもあります。
ただ胃腸トラブルと言っても、食欲不振・食欲過多・胃のつかえ・胸焼け・吐き気や嘔吐・便秘・下痢傾向・消化不良・胃痛・腹部膨満感などなど。症状が多岐にわたるので、胃腸に関連した処方がたくさんあります。
・秋バテとは?
季節の変わり目や夏の疲れからくる自律神経の不調が主な原因とされ、様々な不定愁訴の症状が現れます。(倦怠感・不眠・頭痛・肩こり・憂鬱感など)
身体が気候の変化に順応できない場合、自律神経系に負担がかかりすぎてしまいます。交感神経が優位な状態が続くと身体が余計に疲弊してしまいバテた状態に。
自律神経からくる不調にはリラックスすることが重要です。交感神経・副交感神経のスイッチを切り替えられるようにするには、湯船に浸かってしっかり体を温めることやデジタルデトックスも必要になってきます。さらに運動を組み合わせることで、夏場の体力不足を補い筋力をつけることで、血液の巡りも改善されます。
暑さ寒さも彼岸まで・・・と言いますが、今年は10月になっても夏日が多く、体調不良を訴える方も多くなりました。年々秋が短くなっているように感じます。
金木犀。特有の甘い香りを嗅ぐと秋を感じます。
M