乱高下した3月の気温から、花粉症も治まりようやく春の陽気を体いっぱいに感じられるようになったかと思えば、夏日が増えてきました。読書に没頭すると花粉症の辛さから気が逸れるので色々読んだ3月でした。
・犬と、走る 本多 有香

こんな過酷なレースに日本人女性が参加していたとは。犬ぞりレースはテレビでちょっと知っているくらい。・クレイジージャーニーでも紹介されたことのある犬ぞり師(マッシャー)です。著者の15年を270ページにまとめたこの本は、北米の冬の厳しさや犬への愛情、出会った方々とのやり取りや貧乏生活などその情景が思い浮かぶほど色鮮やかに描かれています。あっという間に読んでしまいました。
人生を賭けられる賭ける何かに出会えた人はこんなにも強く、輝いているように見える。そして挫折しそうになる時、決まって何か見えない力が働いているかのように道が開ける。運も味方にしてしまうような著者のエネルギーを感じました。
・もぎりよ今夜も有難う 片桐 はいり

以前、読んだ本で片桐さんのこの本に少し触れられていて気になっていた本。俳優片桐はいりの原点は映画館の”もぎり嬢”から始まったと言っていいほど当時の銀座の映画館の様子や映画について書かれています。仕事で行った先で出会う地方の映画館。著者の旅の模様も描かれているので旅行気ぶんも味わえる。内容も面白いのですが、各話ごとの題名が映画の題名を文字っているところ。映画好きの人はきっとクスリと笑ってしまうと思います。
・たべる生活 群 ようこ

生活シリーズの文庫4冊目です。群さんの日ごろの食事やそこにまつわる考えについて書かれたエッセイ。東洋医学や食膳の考えにつながりがあるので、理解することも納得できることも多いです。一方、結構切れ味のいい表現もあるので受け手によっては嫌厭してしまうかもしれません。著者が自分の体の声をしっかり聞き・試してきた上での食エッセイなので、万人にウケる内容ではないのは確か。食事が自分をカタチ作る一つであることと、その食事を自分に合ったものを知っていく努力をする必要があること。溢れる情報に流されすぎず、自分の体の弱点を知っておくと調子を維持していくのは結構、簡単なものです。
・薬なければ病なし 薬剤師・毒島花織の名推理 塔山 郁

薬剤師・毒島シリーズの6冊目(シリーズとしては7冊目ですが、そのうち1冊は漢方薬局が舞台)。今回は時事ネタが取り入れられていて、これまでのシリーズよりも一般の方にも身近に感じる話題だと思います。そして6話中3話が”3分で読める!”シリーズのショートショートストーリーになっています。宝島社から出ているこのシリーズは初めて読みましたが、テーマごとのアンソロジーになっています。面白い試みの本です。
最近、図書館の充実さと便利さを改めて実感し、毎週のように足を運ぶようになりました。古い本で、新刊書店にはすでになく、買おうか悩んでいる本の試し読みに助かっています。ネットでの検索・取り置きに加えて、他図書館からの取り寄せや国会図書館との連携で出会える本の幅が広がっています。
施設ごとにイベントも開催されているので、GWは近くの図書館に行ってみるのも面白いと思います。
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