梅雨明け宣言はまだですが、体感はとっくに梅雨明け。長靴を履いたのは数回。今年は暑さが例年以上に長く感じられそうです。
先月は夏バテ対策の処方をご紹介しました。昨年のこの時期には『清暑益気湯』のご紹介をしていました。
この時期は夏バテ対策の漢方の色々な情報が出ています。清暑益気湯や補中益気湯、六君子湯など日頃の体質や症状に合わせて使える処方が豊富にあります。
対策をしていても、この暑さでは屋内でも熱中症のような症状になってしまう場合があります。そんな時はこの処方をご提案しています。
ーーーー『白虎加人参湯』(びゃっこかにんじんとう)
白虎湯という処方にニンジンを加えた処方です。

効能効果:体力中等度以上で、熱感と口渇が強いものの次の諸症:喉の渇き、ほてり、湿疹、皮膚炎、皮膚の痒み
構成生薬:チモ、セッコウ、カンゾウ、ニンジン、コウベイ
白虎湯から派生した処方です。(白虎加桂枝湯もあります。)
原典は傷寒論です。金匱要略や勿誤薬室方函口訣にも記載があります。
白虎湯:「傷寒、脈浮滑、此れ表に熱有り、裏に寒ある者は、白虎湯、これを主る。」
白虎加人参湯:「傷寒、下して後解せず、熱結して裏に在り、表裏但熱し、時々悪風し、大いに渇し、舌上乾燥して煩し、水数升を飲まんと欲する者は、白虎加人参湯、これを主る。」
白虎湯を使う特徴的な症状は、”高熱・口渇・多汗・力強い脈”で、体にこもった熱を除く効果があります。さらに熱が強まると体液が消耗され、水分補給では症状が改善しなくなってくると白虎加人参湯の出番です。この処方は”冷ます”生薬と”潤す”生薬が組み合わさっていて、チモ・セッコウは熱を冷ます代表的な生薬で、ニンジン・コウベイは体力を補い渇きを潤す生薬です。
原文から見ても、白虎加人参湯の方が重症化しているのが読み取れます。

主薬のセッコウは、清熱瀉火薬に分類され”温病”に使われる生薬の1つです。消炎解熱が主な効果ですが、鎮静作用も併せ持つ一面も。成分は硫酸カルシウムで、このカルシウムがこの作用を担っています。また、組み合わせる生薬によって色々な疾患に使える面白い生薬です。
これから益々暑くなり、熱中症に気を付ける時期。特に、炎天下での作業や野外イベントの時は予め”お守り”として持っていくのをオススメしています。
屋外で身体が熱くなってのぼせてきた時や口の渇きが酷くなってきた時に、外遊びで子供の顔が赤くなってきた時やぐったりしている場合など、救急車や病院に行くまでの処置としても使えます。
昔は夜には海からの涼しい風や通り雨が起きることで夕方から夜間の熱を冷ますことが出来ましたが、今は夜になっても気温が下がりません。そうなると、身体に熱が冷めることなく、寝苦しさから睡眠による体力の回復が難しい。水分をきちんと摂っていても、自宅や屋内で熱中症になるのは日ごろの体力の消耗具合も関係しているのです。
先月の生脈散は、体力の回復を睡眠以外でもサポートしてくれる夏場にはもってこいの処方です。そこに白虎加人参湯で保険をかけるような感じです。
ドラックストアや薬局ではなかなか見かけない『生脈散』や『白虎加人参湯』。
・ひと夏の分だけ欲しい。
・ちょっと試してみたい。
など、ご希望があれば分割での調剤も可能です。お気軽にご相談ください。
この厳しい夏を乗り切るために、対策の1つに漢方薬はいかがでしょうか?
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