久しぶりの生薬の小話。振り返ると2024年を最後にご無沙汰してしまいました。今年に入ってから取り上げた生薬を深堀りしていこうと思います。

↓前回の投稿(2024/12/20)

生薬の小話 ーXで書けなかった雑談③ー

雑談②は6月から9月の小話を。今回は10月から12月までの生薬の小話をまとめました。思いつくまま書いていたら、結構長くなってしまいました。 過去のブログはこちら↓…

・カツオ

生薬名はありませんが、薬膳として昔から食卓に並ぶ魚です。気血を補い、胃腸機能を整える力があります。疲れやすい・気力がない時、立ちくらみや貧血対策に特に旬の時期は積極的に取り入れたい食品です。油が少なくさっぱりした味の”春鰹”、栄養満点で濃厚な味の”戻り鰹”。1年で2度の旬がある魚です。

”かつおのたたき”で使う薬味の玉ねぎ・大葉・ネギは、胡葱(こそう)・蘇葉(そよう)・葱白(そうはく)と言われ立派な生薬です。また、タレに添えるショウガやニンニクは生姜(しょうきょう)・大蒜(たいさん)と呼ばれ、こちらも生薬です。それぞれ臭み消しや抗菌作用の他に、気の流れをスムーズにしたり、温めたり、血液の流れを改善する効果があります。。”薬味”と呼ばれる食品はほとんどが生薬名を持っていて、何かしらの効能がある食品なので一緒に摂ると効果が高まります。

・イタドリ

生薬名:虎杖(こじょう)、黄薬子(おうやくし) 

”イタドリ”は痛みとりの効能、”虎杖”は杖のような茎とまだら模様が虎に似ていることから名付けられたようです。主に根を使い、止痛や緩下、利尿、通経作用があり、若葉を揉んで患部に当てると痛み止めとして、月経不順の改善、利尿作用に加えて解毒作用もあるので膀胱炎にも効果があります。緩下作用は優しいので、軽めの便秘にも使いやすい薬草です。

若芽は山菜として食用できますが、あく抜きが必要。煎じたものは少し酸味があり、夏場の胃腸疲れに良いようそうです。シュウ酸が含まれるので大量摂取は下痢や結石になる可能性があります。食べる量はほどほどに。高知県では郷土料理として食べる習慣が根付いています。

・たんぽぽ

生薬名:蒲公英(ほこうえい) 

日本の漢方薬処方には入っていませんが、民間薬として古くから使われている薬草。主に根を使い、健胃や抗菌、緩下作用が報告されています。緩下作用はイヌリンが含まれているので、消化不良による便秘に対して効果が期待できます。催乳作用もあるようですが、どの程度の効果が期待できるかは不明でした。

民間薬として積極的に用いられていた頃は、葉をおひたしや炒め物、天ぷらにして食用していたようです。ヨーロッパではサラダ野菜として生食しているようですよ。(今は道端に生えているので、衛生的におすすめしません。)

タンポポには”二ホンタンポポ”と”セイヨウタンポポ”があり、今ではセイヨウタンポポがほとんどです。(画像はおそらくセイヨウタンポポ)見分けるポイントは花の下の緑色の部分が反っているかいないかで判別します。カフェインがなく、胃腸・肝機能の助けにもなるのでお茶やコーヒーにして摂るのも良いです。

・イチゴ

生薬名:覆盆子(ふくぼんし/ゴショイチゴ)、蛇苺(じゃばい/ヘビイチゴ)

画像はイチゴですが、イチゴの仲間でもある”キイチゴ”には生薬として効能のあるものがありました。

”覆盆子”はキイチゴの中であるゴショイチゴやクマイチゴを指し、滋養強壮の他に頻尿や夜尿に用いられてきました。補腎の力があるので、老化や遺精など腎の働きを助けてくれます。ビタミンも多く含まれ、整肌効果も期待できます。”覆盆子”は特に韓国で使われているようで、こちらはクマイチゴが主流。”ポップンジャ”という名前がついています。”蛇苺”はヘビイチゴを指し、全草から根まで全体を使用します。別名:ドクイチゴと呼ばれますが、毒はありません。清熱・解毒・鎮咳・止血・通経作用があり、熱性疾患の解熱や咽喉の腫れ、咳止めや月経トラブルにも使われます。

イチゴにキイチゴ・・・似ているようですが、植物学上では別の植物。

キイチゴとは、ラズベリーやブラックベリー、バラ科キイチゴ属の総称で”覆盆子”はこちらに属し、キイチゴ属は交配を繰り替えし種類は膨大になっています。スーパーで見かけるイチゴは”オランダイチゴ”という品種で、こちらはオランダイチゴ属になります。”蛇苺”のヘビイチゴはキジムシロ属なので、また違う植物。なかなか、ややこしい。

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出先では変わらずGoogleレンズのお世話になっています。今年も方々への出張・旅行を予定しているので、行った先々でも見たことない植物に出会えるのではと、今から心躍ります。

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・参考資料・

中薬大辞典 上海科学技術出版社 / 薬になる植物 佐藤潤平・著 / ハーブ便利帳 真木文絵・著 / 漢方と民間薬百科 大塚敬節・著