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当店のガラスケースに「おすすめの本」、「今月の漢方」と月ごとにテーマを決めてディスプレイをしています。神田店の頃もやっていたので、なんとなく習慣になっています。

12月頭には載せようと思っていたのがもう半分が過ぎてしまいました。

最近のニュースで医療機関での咳止め薬の欠品をよく耳にしたので、「咳」に対する漢方処方を2つ。X(旧Twitter)にもちょこっとお知らせした内容です。

咳の処方と言えば、「麻杏甘石湯」と「五虎湯」を思い浮かべます。

「麻杏甘石湯」

効能効果:体力中等度以上で、せきが出て、ときにのどが渇くものの次の諸症:せき、小児ぜんそく、 気管支ぜんそく、気管支炎、感冒、痔の痛み

構成生薬:マオウ、キョウニン、カンゾウ、セッコウ

「五虎湯」

効能効果:体力中等度以上で、せきが強く出るものの次の諸症:せき、小児ぜんそく、 気管支ぜんそく、気管支炎、感冒、痔の痛み

構成生薬:マオウ、キョウニン、カンゾウ、セッコウ、ソウハクヒ

Xの方では、中国で流行している肺炎があり、おそらくマイコプラズマ感染症ではないかという情報があったので、過去の文献で『小児マイコプラズマ肺炎の回復期に対する麻杏甘石湯の効果』を見つけ、載せています。(11月30日投稿)

麻杏甘石湯にソウハクヒという生薬を加え5味にしたのが五虎湯です。より症状の強い咳に対応する処方です。(個々の薬物については色々なサイトに掲載されているので、そちらを参考にどうぞ。)

ここで気になったのが、鎮咳としてよく使われる2つの処方ですがどちらにも「痔の痛み」の記載があること。咳による腹圧がかかることで痔が痛むことがあり、その場合にもこの処方が適応になります。消炎・清熱作用のある薬物が入っているので、炎症性の痔核の場合に効果が現れるのでしょう。(ただし、痔というのは鬱血が起きている状態なので、駆瘀血作用のある薬物を選択する必要もあります。)

西洋薬の咳止め薬の使用について思うところはありますが、咳のし過ぎで骨折するケースもあるので、ケースバイケースでの使用をお伝えしています。身体から出そうとする症状をむやみに抑えてしまうと、余計に症状が長く続いてしまうことや別の症状につながってしまうことも。

眠れないほどのひどい咳の風邪になったことがあるので、あの時のことを思うと、使わない方がいいとは言えないですが、用法用量通りに服用するのではなく、大半の風邪薬の使い方は自分で判断して使ってもいい物です。辛い時にだけ服用することで不快な症状を緩和し、できるだけ自分の回復力で治すことができます。そういう点でも漢方薬を選択肢に考えてもらえたら、と思います。

風邪薬に頼りきってしまうと免疫力に怠け癖がつき、いざという時にうまく働いてくれなくなってしまいます。薬はあくまで補助的なものであること、もっと自分の身体の免疫力を信じてほしいです。

不快な症状というのは、体の免疫力が働いていること、休む必要があることの表れです。もしくは不摂生の表れということも。元気で過ごすのは身体に対して日々労わることであるのを忘れないでいてほしいと思っています。

さて、今年も残り2週間ほどになりました。12月らしくない気温ですが、来週から急に冬将軍が頑張り始める様子。くれぐれも体調管理に注意して無事に1年を締めくくっていただきたいです。

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