薬局製剤について、以前に説明した内容の続きです。(薬局製剤って?の記事を参考)
当店は漢方薬局。生薬から他社製品まで色々取り扱っていますが、商品の主軸は”煎じ薬”。
あえて煎じ薬を売りにしている理由・・・それは、薬局製剤という特別な許可をもらっていること。漢方薬は元々煎じることで効果を得ていた薬なので原典を忘れぬように。という意味も込めて煎じ薬にこだわりを持っています。
舟形、薬包紙、量り、薬匙など。調剤するために必要な道具は保険薬局と同じようなものです。(医療関連の商品はシンリョウという会社が便利)漢方薬の調剤には、やり方の厳密な決まりはないので、店ごとに多少の違いはあります。
以前の記事より抜粋↓
漢方を勉強する際によく使われる傷寒論には「右○味、水○斗(升)を以って煮て○升を取り滓を去り、○升を温服する」という服用方法が載っています。(○は数字が入ります。)
煎じ薬の特徴は煮出すこと。水抽出の方法もありますが、薬局製剤の煎じ薬の作り方は全て煮出して作ります。『煎じ』というのは、煮詰めて成分を取り出すという意味です。煎という漢字の下の部分(灬:れんが)は火を表す部首です。なので煎じるという行為は火を使うことが漢字からもわかります。
現在は様々な剤型が作られ、日本薬局方では70以上の剤型が定義されています。私が勉強した頃はこんなになかったので、どんどん細分化されているようです。
日本で薬というものは、調べてみるとおそらく外用剤として使われ始め、中国医学が入ってきたころから内用薬として使われ始めたのではないか。となると、煎じ薬は数ある剤型の中でも古くからあったのだと思われます。
薬の歴史を辿ると、科学の発展とともに次第に伝統医学は衰退し、その背景には様々な影響がありました。それでも先人が細々と続けてこられ、平成の後半から見直されつつあるように感じます。(喜ばしい反面、剤型が増えた分、煎じ薬は埋もれつつあるように感じますが。)
煎じ薬を使ってみたいけれど、「作るのが大変そう。」「毎日続けるのは難しい。」「においが気になる。」などなど、煎じ薬に対するハードルはなかなか・・・確かによくわかります。わかるけれども、効果の違いは明らかなのでおすすめしたい!
そんな、ちょっと手間がかかる煎じ薬ですが、便利な機械があります。
当店で現在取り扱いのある道具をご紹介。
(↑左:煎じLITE 右:煎じ器 文火楽々)
(↑土瓶 母こころ)
価格は、数千円~2万円前後まで。万が一破損した場合でも部品ごとの販売も可能です。IH対応の土瓶のご用意もあります。
それぞれの煎じ器の使い方は別の機会に詳しくご紹介します。
5月は連休があり、ドタバタしているうちに残りわずか。沖縄が梅雨入りし、来月半ばには千葉も梅雨入りとなる季節です。気圧の変化に敏感な方は辛い季節がやってきます。水分の代謝が関係していることが多いので、対策に漢方を使ってみてください。
ご相談だけでもお気軽にどうぞ。
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