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桜の開花宣言も済み、少しずつ街中も花々で色づいてきました。今年の花粉症は何とか薬を使わず乗り越え、浮いたお金でどんな本を買おうか、それとも秋の古本市まで取っておくか・・・嬉しい悩みができました。

4月と言えば、新生活。新しい生活が始まるこの季節。引っ越しのトラックを見るたびに感じます。

新しい環境になることは、人によっては相当なストレスになります。検査ではなんともなくても、自覚症状はある。そんな時は漢方薬の出番です。不眠や食欲不振、のぼせや動悸などなど。ストレスによる症状は十人十色。選択する処方も十人十色。今回ご紹介の処方は、ストレス症状の緩和に使う処方の1つです。

『四逆散(しぎゃくさん)』

効能効果:体力中等度以上で、胸腹部に重苦しさがあり、ときに不安、不眠などがあるものの次の諸症:胃炎、胃痛、腹痛、神経痛

構成生薬:サイコ、シャクヤク、キジツ、カンゾウ

「散」とあるので、剤型は散剤です。携帯しやすいという利便性を考えて選びました。新生活で慌ただしい状況では散剤の方が服用しやすいだろうと思って。

滞った気の流れをスムーズにし、緊張状態を改善する生薬が入っています。健胃作用や鎮痛作用もあるので、胃痛・腹痛にも対応可能です。たった4種類ですが、単味の効果に加えて組み合わせによる相乗効果もあるので、幅広く使うことのできる処方になっています。

この中の「キジツ」は身近にある果物。柑橘類のナツミカンやダイダイなどです。チンピという生薬もよく使われますが、こちらはミカンの皮。(陳皮と書きます。)似ているようで、実は違いがあります。この他、キカク、キッピにジョウヒなど柑橘類の種類によって名前が違ったり・・・この効能の違いを理解するのに一苦労です。

(↑左がキジツ、右がチンピ)

もっと手軽に取り入れるなら、緑茶や紅茶に乾燥した柑橘の皮を加えてもいいかもしれません。精油成分が入っているので、温めるといい香りがしてリラックス効果も期待できます。(ハーブと生薬は名前が違っていても同じものを指すことがあります。)

ストレスは自律神経を緊張状態にして、胃腸トラブルの引き金になることが多いです。そんな時は四逆散をさっと服用してみてはどうでしょう?

【余談】

3月19日に第109回薬剤師国家試験の合格発表がありました。今年の合格率は68.43%。一発勝負の国家試験。

なんとなく毎年気になってしまいます。自分が受験したわけでもないのに・・・

ちなみに第71回までは年2回試験があったそう。さすがにその頃の過去問を解いたことはないですが、第72回頃から問題数が増え、このころを境に少しずつ医療人としての薬剤師の立場が変わってきたのではないでしょうか?時が過ぎ、今では薬学部も6年制。4年時には薬学共用試験(CBT・OSCE)実習は薬局・病院に各11週ずつ。そして卒試。卒試に受かってやっと国家試験「資格」をもらえるのです。ここまでのハードルはなかなかのもの。

皆さんに桜が咲いてほしいですが・・・一先ずはお疲れさまでした。

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