6月ぶりの話題になってしまいました。X(旧:Twitter)で、生薬に関連した内容を度々投稿しています。約半年ぶりになってしまったので、紹介してた生薬が溜まってしまいました。
その中から厳選したものを雑学も交えてご紹介します。今回は6月から9月まで。
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・オシロイバナ 6月
生薬名:紫茉莉根 (しまつりこん)
種子を割ると出てくる白い粉は実際に白粉(おしろい)の代用として使われたことがこの花の由来です。夕方から咲くので、夕化粧とも呼ばれます。
利尿作用・関節炎に利用されてきました。低い所に群生し、鮮やかな花がお子さんの目を引きやすいですが、有毒植物なので誤飲に注意を!
・トウモロコシ 7月
生薬名:南蛮毛 (なんばんもう)
夏が旬の野菜の1つ。その季節によく取れるものは、その季節の主な症状に効果がある傾向にあります。利尿作用があるので浮腫みや夏バテの対策に。お茶として市販されているので、馴染みのある生薬です。
日本にはポルトガル人によって持ち込まれ、「南蛮黍(なんばんきび)」と呼ばれていたそう。そこから、毛のような部分を「南蛮毛」と呼ぶようになったとか。加工品として、コーンシロップやコーンスターチなどもトウモロコシ由来。こちらはデンプンを使用しています。
・ほおずき 7月
生薬名:酸漿 (さんしょう)
咳止めとして百日咳に使っていた記録がありました。治りにくい咳に黒焼きにして服用していました。咳や痰以外にも解熱や利尿作用も。観賞用として愛でる植物ですが、以外に薬効もしっかりあります。また、子宮収縮作用があるため、妊婦や妊活中の方は×。
浅草寺のほおずき市は”四万六千日”という功徳日にあたります。元々は港区・愛宕神社が発祥で、境内にほおずきが自生したことが縁日と組み合わさり売られるようになったとか。そこから、浅草寺では功徳日と合わせて市を開くようになったそうです。(諸説ありますが・・・)
・納豆 7月
生薬名:淡豆豉 (たんずし)、香豉(こうし)、豆豉(とうし)
正確には納豆≠淡豆豉。どちらも発酵した大豆に変わりはないのですが、納豆菌か麹菌か、その他に作られる行程が異なります。大きな括りで一緒と、日本では代替として使用していたようです。発汗させ熱を去る効果があるので、悪寒を伴う風邪や生薬の組み合わせ方で熱感を伴う胸苦しさのある場合にも使える興味深い生薬です。
納豆に加えるものには、ネギや鰹節、卵など。植物性たんぱく質に動物性たんぱく質を合わせて、不足しがちな成分を補える食べ方も。納豆にネギを組み合わせると”葱豉湯”という処方の出来上がり。ネギたっぷりの納豆は風邪予防にも腸活にも最適です!
・トチノキ7月
生薬名:七葉樹 (しちようじゅ)
湿疹や水虫などの肌トラブルに内服や外用で使用。トチノミにはサポニンやタンニンが多く含まれ、渋くてそのままでは食べられません。ただ、成分には血糖上昇抑制や脂肪吸収抑制の機能があると報告されていました。
食用に不向きな実が、先人の知恵によるあく抜きの方法で、今はお菓子やお餅などに加工されています。「モチモチの木」という絵本にはとち餅が登場します。
パリの街路樹で有名なマロニエ。和名は”セイヨウトチノキ”。和名から分かる通りトチノキの仲間で、よく似ています。葉に違いがあるようですが、成長すると35メートル以上になる巨木なので、目視で違いが確認できるのかどうか。
・コマクサ 8月
民間薬
高山植物の女王として名高い植物。腹痛の薬として重宝され、乱獲されたため一時は絶滅の恐れがあり、現在は国の特別保護植物になっています。
実はケシ科植物。かわいらしい見た目ですが、アルカロイドを含む有毒植物。アヘンの生成に使われるケシと同じ科ですが、その成分が含まれないため鑑賞などに栽培可能です。自生地以外で生えると外来種扱いになり、除去の対象になることもあるようです。
・ブドウ 9月
民間薬
疲労回復・眼精疲労など、ポリフェノールが含まれているのはご存じの通り。ポリフェノールの含有量はぶどうの色によって異なります。(濃い方が多いと言われています。)
実はワインは日本薬局方に”ブドウ酒”という名で登録されている医薬品になっています。効能効果は食欲増進、強壮、興奮、下痢、不眠症、無塩食事療法。もちろん妊婦や授乳中の場合、小児には使えません。薬価換算1本(500ml)2000円くらい。「薬用養命酒」のアルコール度数は14%ほど。同じくらいのアルコール度数でした。ちょっと気になっていますが、どうやって処方してもらうのだろう?
※ 無塩食事療法 → 調べましたが具体的な説明はなし。塩分制限のある方にリモナーデ処方といって、味付けのための佐薬として使うことが多いそうです。おそらくその事かと思います。
道端にある植物に目を向けると意外にも生薬や民間薬だったり何かしらの効能をもっていました。よくぞこれを調べようと思ったなあ。と関心する事も。いやいや、西洋薬のほとんどは植物の成分からヒントを得て作られたもの。効能があって当然でした。
名前のわからない植物は、Googleレンズで調べています。大活躍!
参考資料
・薬になる植物 難波恒雄・久保道徳 共著
・中葯 中華人民共和国今日の中薬展 協力会
・ハーブ便利帳 真木文絵・著/ 池上文雄・監修