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11月になっても夏日のような日があり、今年は暑さが長く続きました。12月に入ってからも日中はポカポカした陽気を感じますが、週末からようやく寒気がやってくるようです。

毎年11月頃から注文の多くなる処方があります。有名な処方ですが、少しおさらいしておこうと。

ーーーー『葛根湯』

構成生薬:カッコン・マオウ・ショウキョウ・タイソウ・ケイヒ・シャクヤク・カンゾウ

効能効果:体力中等度以上のものの次の諸症:感冒の初期(汗をかいていないもの)、鼻かぜ、鼻炎、頭痛、肩こり、筋肉痛、手や肩の痛み

(↑ 粉末タイプもご用意してます。)

(↑1回2g。包装してみると、このくらい。原末なので包装していてもケイヒの香りがしっかり感じられます。)

一度は見たことのある処方と思うくらい有名な漢方薬。使い勝手の良い漢方処方で、江戸時代には葛根湯ばかりを処方する医者を”葛根湯医者"と揶揄していたくらい昔からポピュラーですが、使い方に注意が必要です。

傷寒論には「太陽病、項背強ばること几几、汗なく、悪風する者、葛根湯これを主る。」

→ うなじや背中が強張って、発汗せず、寒気がする場合は葛根湯がいいですよ。といった条文。

ポイントは汗をかいていない事。発汗は免疫機能が働き始めたか、体力が落ちているかの目安になる症状です。

葛根湯は体を温める力と発汗させる力の両方の効果がある処方。身体を温めることで免疫機能を活性化させ、発汗させることで病邪を出す働きです。

服用の注意点は、強い熱感や炎症がある場合や汗が出ている場合の症状には合わないこと。熱感がある場合は駆風解毒湯や銀翹散などの熱を冷ます生薬の組み合わせを、すでに発汗している場合は弱い発汗作用の桂枝湯や桂枝加葛根湯がおすすめです。

構成生薬から見てみると、桂枝湯にマオウとカッコンを加えた処方とみることができます。

(↑カッコン 葛の根っこです。)

カッコンは筋肉の緊張を緩め、解熱作用があり、マオウとケイシの組み合わせで体を温め、発汗作用の相乗効果があります。この組み合わせは、インフルエンザの時によく使われる「麻黄湯」にも入っています。シャクヤクとカンゾウは「芍薬甘草湯」の処方のように筋肉の痛みやこわばりを緩和する働きが、カンゾウにも炎症を抑える効果があります。また、カンゾウ・タイソウ・ショウキョウの組み合わせは胃腸を保護する働きも兼ねていますが、マオウが負担になりやすいので胃腸が弱い方には別の処方をおすすめします。

最近、スポーツ選手のドーピングについての話題が多く聞かれます。薬剤師は薬の専門家として、”スポーツファーマシスト”という認定資格があります。スポーツにおける薬の使用についてアドバイスのできる知識を持った薬剤師のことで、基礎講習と実務講習を受け、試験に合格して認定資格が得られます。ドーピング問題により注目を集めるようになってきた資格です。

(↑マオウ 茎の部分を使います。)

今回の処方では、マオウには中枢興奮作用があるため、スポーツをされている方は服用を避けるべき生薬です。漢方薬は、生薬1つ1つで注意する必要があるため細かく把握しておく必要があります。資格を持った薬剤師の検索や、服用する薬が問題ないか確認するサイトもあるので、是非活用して下さい。

例年に比べると温かい日が続いていますが、クリスマスソングを耳にしたり、ツリーを見かけると12月の雰囲気を感じます。当店のディスプレイも少しクリスマスの雰囲気にしてみました。

師走の忙しさで、体調管理が疎かになりがちなので葛根湯などをうまく使って対策をしてみて下さい。

↑ストロー(藁)製のクリスマス人形たちです。

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