今月に入って風邪を引いたので、何種類か煎じ薬を試していました。最近よく処方されるようになった「麦門冬湯」と合わせて使い分けの提案です。
夏頃に「麦門冬湯」の処方が増え、在庫が不足していると友人や卸業者の担当の方から聞いていました。夏に?と不思議に思ったものですが、実際に咽喉の風邪を引いてみて処方されるのも納得でした。
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「麦門冬湯」 バクモンドウ・ハンゲ・タイソウ・ニンジン・カンゾウ・コウベイ
主薬はバクモンドウという生薬。身体を潤す滋潤作用があり、咳をしだすと止まらない場合、乾いた咳やなかなか出ない痰などに使われることが多い処方。ハンゲは余分な水分を除き、鎮咳去痰作用があり、ニンジンやタイソウ、コウベイが入っているのでこじらせて体力が消耗してしまった場合にもいいです。潤す力がある生薬が多く配合されているので、痰が多い咳には不向きな処方。
「麻杏甘石湯」 マオウ・キョウニン・カンゾウ・セッコウ (+ソウハクヒ=五虎湯)
急性期の咳、体が温まると出てくる咳や熱っぽい場合の咳にはこちら。マオウは気管支を広げて、キョウニンは潤して痰を出しやすくし、カンゾウは炎症を抑え、セッコウは熱を冷まします。
どちらも乾いた咳や止まらなくなる咳に使うタイプの処方ですが、麦門冬湯は長引いて体力を消耗した場合に潤しながら咳を治し、麻杏甘石湯は熱っぽさを除きつつ適度な潤いを保ちながら咳を治す。
似ている効能ですが、違いがあるので症状と経過によって使い分けると効果が分かりやすく、早めに改善できます。
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【今回の病歴】
主訴:咳が残る。日中も出るが、横になったり就寝時は特に激しい。水様の鼻水が出る。上咽頭の辺りに何かが張り付いているような感じがある。
経過:咽喉の違和感から始まり、咽喉の痛みを感じ、腫れてる感覚あり。咽頭痛から咳・鼻水に変わる。咳をすると塊状の痰がでる。痰は黄色~黄緑色。鼻水は黄色~透明。日が経つと軽い倦怠感はあり、体が少し熱っぽい。排尿・排便は異常なし。
→私の場合は咽喉の痛みが出始めた時に「駆風解毒湯」、咳が出始めた時に「麻杏甘石湯」を選択しました。その後、鼻水も出てくるようになったので「小青竜湯合麻杏甘石湯」に変更し、全体として10日くらい服用して症状が治りました。
痰が絡んで困る場合は「排膿散及湯」を使ってみても良いと思います。膿=痰を出しやすくしてくれる効果が期待できます。(今思うと、試せるチャンスを逃し後悔。)
長引く咳は体力を消耗しますし、この時期は周りの目も気になります。咳が出始めたらすぐに使い始めるのがベスト。他にも咳や痰に使える処方はありますが、ドラックストアで取り扱われていることが多い処方を比較してご紹介しました。
↓咳が出てきた時に常備していたのど飴。甘さが強いですが、私の咽喉の状態には合っていました。蜂蜜は潤したり咳を治める力がある生薬です。丸薬の加工や矯味薬としても使います。
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