先月はテレビの影響で、エッセイを中心に読んでいたようです。と、いうのも毎週欠かさず見ている『あの本、読みました?』という番組。自分で選ばないような本を知ることができて、テーマも毎週異なるので楽しく拝見しています。

・魔女の1ダース  米原 万里

今作は”常識”の心もとなさや”先入観”の危うさを人種や国、文化の違いの観点を踏まえて、小気味よい文章で語られています。多様な背景(人種含め)を持つ人と接する機会が多くなった現代で、この1冊はバイブルになりそうなほど、凝り固まった考えや思い込みを打開してくれる。過去の紛争や戦争での立場が違えば、思うところも異なる。”相手に立場になって考えること”と教わりますが、実のところ、本当の意味ではとても難しい。完全に相手の立場には立ちようのない事実を受け止めなければならない時、どうするのか。この時の著者の考えがすっと心に残っています。その他にも、幅広い見識からハッとさせられることが多く語られています。一読する価値のある本。

・表参道のセレブ犬とカバーニャ要塞の野良犬  若林 正恭

テレビ東京『あの本、読みました?』という番組で、若林さん特集が組まれていたのを拝見して興味が沸き、こちらの本を。キューバに一人旅に行かれた旅行記とご自身の思いを綴った1冊。なぜキューバを選んだのか、それにはいくつかの理由があるようです。その1つに、日本と対比できる国であるということ。rute2.5『家庭教師』の項目はとても勉強になる。日本という国での競争社会の仕組み、日常生活の些細な場面でもその影響が滲み出ていることがあります。”学ぶこと””知ること”の意味を改めて考える、そして体験することで得られる見識の広がり。なんとなく共用してきたことを、この人のフィルターを通してみると不思議と疑問に思える。新しい発見とそれを疑問に思う視点を持つことを教えてくれた1冊です。

・ナナメの夕暮れ  若林 正恭

前作を読み、どことなく共感できる考えがあったのでこちらも。”ナナメ”な見方・考え方がどのような経緯で変わっていくのか。いちいち丁寧に自分の考えや感情を掘り下げ、ちょっと自分を追い込みすぎていないかな?と思う反面、そうすることで何とか”生きやすい”自分を探っているのかなと。掘り下げることが自分を追い詰めることにもなりそうですが、その先にブレない軸を手にすることができる。軸ができると案外他の事に寛容になれる気がする。そして、物事に過敏に反応する体力・気力は、実際に年を取って減るという事実。わかる。いちいち”ナナメ”な見方や考えを出来たのは若いという証拠ですよね。この本の至る所で共感できたのは、私も若林さん的”ナナメ”が多くあるのかもしれません。”肯定”も”否定”も考え方ひとつ。その真ん中もあることを理解できるのも、ようやく”ナナメ”だけでない考え方ができるようになってきた証拠でしょうか。

・本屋で待つ  佐藤 友則・島田 潤一郎

NHK『Dearにっぽん』という番組に取り挙げられたある書店。観ていて、何だか知っていると振り返ると、数年前に読んでいたこちらの本に行きつきました。そこ店長だった佐藤さん(現在は社長)の軌跡を綴った本です。すでに知っていた気になっていたようです。この本からは、著者の仕事に対する熱、従業員や地域の方々に対する思いが伝わってきます。原点は”うちを頼ってくれた人には何とかしてあげたい”という思い。特に従業員の方々に対して寄り添いながらも決して押しつけない、その人その人の器量をしっかり把握しながら、徐々にできることを増やし自信を持たせる。長い目で見つめる”待つ”こと、”立ち止まる”ことが今こそ必要だと教えられた気がします。社会のスピードに遅れてしまう人・萎縮してしまう人、そんな人との出会いが自分を変えてくれたと話していたのが印象的です。人を見つめ、寄り添うとお互いに緩やかな良い効果が生まれてくるということも教えてくれる1冊。

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早くも今年のGWが終わりました。皆さんはどのような連休を過ごされましたか?私の本番は下旬。今年も大きい古本市が開催される予定なのです。そこで掘り出し物を探すため、GWの予算は控えめにできたので今からウキウキしています。願わくば、漢方関係の本・気になっているエッセイが出てくれたら・・・。

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