少しずつ初夏のような気温になってくる5月。”五月病”といって、新生活・新しい環境が始まりこのくらいの時期に出てくる自律神経の乱れ。だるさ・めまい・頭痛・無気力・食欲が出ない・眠れない・鬱々とするなどなど、症状は千差万別にあります。

最近ドラックストアでよく見かけるようになった漢方薬を1つご紹介します。

ーーーー『苓桂朮甘湯(りょうけいじゅつかんとう)』

効能効果:体力中等度以下で、めまい、ふらつきがあり、時にのぼせや動悸があるものの次の諸症:立ちくらみ・めまい・頭痛・耳鳴り・動悸・息切れ・神経症・神経過敏

構成生薬:ブクリョウ・ケイシ・ビャクジュツ・カンゾウ

構成生薬の名前を1文字使った処方名です。そして、薬対による効果で幅広く適応を持った処方にもなっています。

各生薬の分類は、

・ブクリョウ(利水滲湿薬):利水・滋養・鎮静作用を持ち、水毒や消化機能の改善、精神安定に使います。

・ケイシ(辛温解表薬):解熱・鎮痛・健胃作用を持ち、血管拡張により発汗解熱、疼痛閾値を高める他、体を温め、主薬の効能を助ける目的でも使います。

・ビャクジュツ(補陽薬/補気薬):健胃・利水・鎮静作用を持ち、消化を促進し機能を改善、利水薬と組み合わせることで利水作用を増強します。

・カンゾウ(補陽薬/補気薬):解毒・鎮痙・抗炎症・補益作用を持ち、筋肉の痙攣を解消、元気を補い、精神を安定させる。咽喉の炎症に単味で使用することがあります。

ここでも、薬対が重要になります。例えば・・・

ブクリョウ+ビャクジュツ:どちらにも消化機能を立て直し、利水作用を持っています。この組み合わせは”痰飲”という体に異常に溜まった水分を除き、落ちてしまった消化機能を取り戻す力の相乗効果がでます。

ケイヒ+カンゾウ:血液循環を改善し、気を補う組み合わせによって不足した陽気を補い、相対的に上った陰気を下げる働きをします。

また、ブクリョウ+ケイヒは気に作用し、下げる力を相乗的に強める組み合わせです。

陰(気)陽(気)はバランスが大切で、どちらに傾ていても体や精神に変化が現れます。今回の処方では、水毒体質の方で何らかの理由で陽気が不足・陰気が上ってしまった結果、みぞおち~頭に症状が出ている場合に効果的に使うことができます。”何らかの理由”とは、痰飲が作られたり、発汗などで陽気が過剰に漏れてしまった場合など色々な理由が考えられます。

”痰飲”は胃腸機能の低下に影響を及ぼす原因の1つです。胃腸機能が弱ると栄養や水の吸収力が落ち、体を巡らなくなり溜まったりエネルギー不足に繋がります。水毒体質の方は胃腸機能を立て直すことを軸に、または並行することで巡らせる力を取り戻す必要があります。

たった4味ですが、過剰になったものを除く・不足したものを補うということが同時にできる処方です。

この処方に、ゴシュユ・リヒ(すももの根皮)・ボレイを加えると『定悸飲(ていきいん)』、四物湯を合わせると『連珠飲(れんじゅいん)』という処方になります。

【余談】

この処方、1味変えると効能がガラリと変化します。

・”ビャクジュツ”を”タイソウ”にすると『苓桂甘棗湯』という神経が昂る状態に使う処方に。

・”ケイシ”を”カンキョウ”にすると『苓姜朮甘湯』という冷えのある腰痛に使う処方に。

たった1味の違いで、薬対による効能の変化により色々な顔を持つ処方に変わる。今回の処方は、『五苓散』と効能や構成生薬が似ているので、薬対や薬用量を比較すると使い方の勉強になります。構成生薬が少ない処方は、個々の生薬の特徴を知るのに取り掛かりやすいと思います。

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