先日の台風6号が過ぎ九州や近畿地方では梅雨入りの発表があり、そろそろ関東にも梅雨の足音が聞こえてきそうです。
梅雨時は湿気の影響があり、水の巡りが悪くなりやすい時期です。めまいや食欲不振、痛みなど体全体に巡っている水はたまる場所で色々な症状を引き起こしてしまいます。そんな時期に使える処方をご紹介します。
ーーー『半夏白朮天麻湯(はんげびゃくじゅつてんまとう)』

効能効果:体力中等度以下で、胃腸が弱く下肢が冷えるものの次の諸症:頭痛、頭重、立ちくらみ、めまい、蓄膿症(副鼻腔炎)
構成生薬:ハンゲ、ビャクジュツ、ソウジュツ、チンピ、ブクリョウ、バクガ、テンマ、ショウキョウ、シンキク、オウギ、ニンジン、タクシャ、オウバク、カンキョウ
14味の生薬から構成されている漢方薬です。
この処方は”脾胃論”という書物に記載されています。脾胃を補う・立て直す処方の1つで、胃腸の消化機能が弱っている人に使う処方です。脾胃の失調は栄養を作れず、停滞してしまうので気血水のどれもに影響を与えてしまいます。特に胃腸機能と関係性が深いのが痰湿の存在。痰湿とは”余分な水分が溜まり機能低下をきたすもの”ことを指します。
構成生薬から考察すると、『六君子湯』が基本処方になっているのが分かります。胃腸機能を立て直す処方をベースに、ハンゲ・ビャクジュツ・ソウジュツ・ブクリョウなどの利水・化湿作用を持つ生薬が主薬になっています。また、理気剤のチンピは胃腸機能のサポート・巡りをスムーズにし、全体に薬効を届ける働きもしています。今回の処方は利水・化痰作用を持つ生薬が多く構成され薬用量も多いので、痰湿が強く存在している時に有効な処方です。
薬用量の違いを見てみるとどちらの効能に重きを置いているのかわかるので、そちらも確認するとより理解が深まりますよ。
↓【過去のブログ】六君子湯(読み返すとかなりあっさりした内容。近々もう少し深掘りしようを思います。)
今回の処方で特徴的なのが、シンキク・バクガという生薬。

以前、シンキクについてはX(旧:Twitter)で取り上げました。シンキクとは小麦粉や麩に生薬を混ぜ発酵させたものです。中国ではこちらを使用していますが、日本では米麹を代用として使っています。発酵品であり消化促進はもちろん、滋養作用もあり炭水化物の消化が得意です。
バクガはオオムギの種子で、タンパク質や炭水化物の消化が得意な生薬です。(千葉県民の方なら給食で出ていた”麦芽ゼリー”を覚えているのではないでしょうか。この商品にバクガが使われています。ああ、懐かしい。)
胃腸が弱ると消化吸収の力も衰えてしまうので、この生薬を合わせることで消化のサポートをしてくれているのです。
コタロー漢方から『参楂神(さんざしん)』という商品が出ています。こちらはバクガ・コメコウジ(シンキク )・サンザシで構成され消化に特化した商品。それぞれタンパク質・脂質・炭水化物を消化してくれるオールマイティな消化剤です。
ちなみに、この『参楂神(さんざしん)』が入った処方は『加味平胃散(かみへいいさん)』です。食べ過ぎ・飲みすぎた場合にはこちらをお勧めします。

↑手に入りやすい乾燥した米麹。こうじ納豆を作るのに常備しています。
【余談】
最近胃腸の疲れを感じる方や低気圧による体調不良の方にも『半夏白朮天麻湯』のお試しをオススメすることがあります。五苓散や苓桂朮甘湯を使っていて効果がイマイチな時の次の一手に使えます。
当店では三和生薬の『半夏白朮天麻湯Aエキス細粒』の取り扱いをしています。ちょっと試してみたい方は是非ご相談ください。

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