6月も終わりに近づき、今年も半分が過ぎたということ。先月の話題になりますが、連休中は仕事に行きつつ、生薬のイベントに参加したりと読書以外の時間もなかなか充実した5月でした。中でも毎年恒例の5月の古本市はとっても楽しかったです。

・神の蝶、舞う果て  上橋 菜穂子

新作ではなく、過去に連載されたものの書籍化されていなかった物語を、30年の時を経て書籍化。若き上橋さんの物語を今の上橋さんが修正をした1冊。著者の書籍はほぼ全て読んでいますが、今作は若々しさが溢れた描き方を感じます。30代に書かれたそうで、時代は2000年代。今から26年前にこんなことを考え、物語のテーマにしていた先見の明に圧倒されます。上橋さんの物語は、人と自然との共存や争いの先にあるものを考えさせられます。270頁の中で繰り広げられる今作も、子供にはハラハラドキドキ、大人には見方を変えること・思い込みの危うさを。歳をとると忘れてしまう感情や戒めを再び思い出させる、灯のような本です。

ちなみに、この本の装画は白浜鴎さん。『とんがり帽子のアトリエ』の作者さんです。絵画のような表紙に本屋さんでは一際目立っていました。好きな漫画家さんの絵が使われて嬉しいです。

・月収  原田 ひ香

月収が異なる6人の女性たちを主人公に日々の生活を描いた作品。山あり谷あり、紆余曲折あり。年金、仕事、家賃収入、新NISA、会社経営など収入方法は色々。お金にまつわる話ですが、お金と自分を見つめるきっかけになります。この本の主人公たちはお金で悩み、自分の生き方を模索し落としどころを見つけて前向きに生活していく。最終話の冒頭で20万円の月収と30万の月収の人を比較した話が数行書かれています。数字では1.5倍の差ですが、固定費を差し引くと自由に使える残りはそれ以上の差になる。確かに自由に使えるお金があれば好きな事・物に使えますが、果たしてそれが自分にとっての幸せや生き方に繋がるのか。お金はもちろん必要で欠かせないもの。自分がどうしたいか、どのくらいが必要なのか。お金に振り回されない生き方ってどういうことか、現在の世界情勢を織り交ぜながら色々考えをるきっかけの本になりました。物語は気軽に読めますよ。気になるのは、著者が月収30〜40万位の主人公を描くとしたらどのようなお話になるのか・・・・。いつか読んでみたい。

・嘘つきアーニャの真っ赤な真実  米原 万里

まだまだ米原万里さんブームは続いています。著者が幼少期に過ごしたプラハでの学校生活で出会った3人の学友との思い出、そして再会をそれぞれ描いた作品です。幼少期の1960年代から再会した1990年代の東欧・中欧は激動の時代。共産主義から民主主義への変革、民族紛争など複雑な事情が起きていました。そんな中、様々なルーツを持つ子どもたちは国の政策や派閥にいとも簡単に巻き込まれる。彼・彼女らが祖国への思いを募らせる様子は日本で暮らし、日本人に囲まれているとピンとこない感覚になるのではないでしょうか。”様々なルーツ”を持つことが、民族意識を募らせ、諍いに発展しているのではないか。他国を尊重することなくおせっかいを焼くことが果たして平和に繋がるのか。激動の時代にその場所で生活し、日本人としての感覚も持ち合わせている著者の言葉だからこそ、私たちに伝わることがあるのだと思います。歴史、特に近代史を知ることは今を生きていく上で必要不可欠な情報かもしれません。高校時代の歴史の授業を見直してくれないかなとつくづく思います。

・本屋さんのある街で  凪良 ゆう/瀬尾 まいこ/坂木 司/一穂 ミチ/三浦 しをん

アンソロジーとは同一テーマの文集のこと。その良さは、いろいろな作家さんの物語に触れることができるところ・1話完結であるところだと思います。1冊で何度おいしいことか!今回のテーマは”本屋さん”にまつわる物語。5人の作家さん視点で描かれる本屋さん。家業だったり、起業だったり、バイトだったり、お客さんだったり。中でも、坂木司さんの描く本屋さんは理想であり、希望でもある。昔地元で通っていた古本屋さんを思い出しました。本屋さんの仕事は一見本を売るだけのように見えて、実は体力仕事で経営は実に大変。本屋に関する色々な書籍を読むとそれはよく分かります。出張や出先で見知らぬ場所に行く時、本屋さんのあるとホッとして古本屋さんでも新刊書店でも立ち寄るようにしています。売れ筋や話題の本もいいですが、思いがけない出会いはその場所でしか得られない大事な瞬間だと思って。この1冊が本屋さんへ足を運ぶきっかけになってもらえたら嬉しいです。

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5月には毎年恒例になった年1度の大きめの古本市に行ってきました。この古本市は本だけでなく、ポストカードやポスターなどの雑貨もあり、古い雑誌の付録や出版社や編集者、独立書店など本にまつわることを題材にした新刊本など古本だけではない、本に関係した物であれば色々な揃っていて内容の濃いイベントになっています。最近の古本市はこんな感じなのでしょうか。みっちり2時間、思う存分堪能した1日。漢方にまつわる本も手に入ったので、読み終えたら薬局に置く予定です。

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