2月、3月にお問い合わせの多かったのは花粉症の他に、受験や環境の変化によるお子さんの体調不良。発散の仕方が分からず、体の不調として出てきてしまうようです。

聞き取りをして合う処方を提案しますが、今回はまず使ってみてほしい処方をご紹介したいと思います。

ーーー『桂枝加芍薬湯(けいしかしゃくやくとう)』

効能効果:体力中等度以下で、腹部膨満感があるものの次の諸症:しぶり腹、腹痛、下痢、便秘 (※しぶり腹とは残便感があり、繰り返し腹痛を伴う便意を催すこと)

構成生薬:ケイヒ・シャクヤク・タイソウ・ショウキョウ・カンゾウ

基本の処方は『桂枝湯』で、そのうちの”シャクヤク”を倍量にしたものが、『桂枝加芍薬湯』です。

・ケイヒ(解表薬):血行改善、鎮痛作用

・シャクヤク(補血薬):補血(肝)、鎮痙・鎮痛作用

・タイソウ(補気薬):鎮痙、安神、健胃作用

・ショウキョウ(解表薬):健胃、制吐、発汗作用

・カンゾウ(補気薬):鎮痙・鎮痛、解毒、健胃作用

※ ( ):生薬分類/漢薬の臨床応用 参考

解表薬は体表の滞りを解消させ働き、補気薬は気の不足を補う働き、補血薬は、血の不足を補う働きのをもつ生薬のことです。

気・血の概念の説明は難しいのですが、補気薬も補血薬も気・血を直接増やすというよりもそれぞれの生理機能を高める働きをしていると考えてください。(機能を高めることで結果的に気・血を増やすことに繋ります。)気・血(+津液)の不調は体全体の流れを滞らせるため、炎症や痛み・痺れ、神経不安につながります。

5味の生薬構成ですが、ここでも薬対(組み合わせ)の出番です。ケイヒとシャクヤクは陰陽のバランスを戻し、気・血の流れを改善、抵抗力の強化の働きが、ケイヒとカンゾウは、気の上りを落ち着けるため頭痛や動悸などの自律神経失調の症状を緩和する働きがあります。

シャクヤクとカンゾウは、『芍薬甘草湯』の構成生薬です。こむら返りによく使いますが、どちらも筋肉の緊張を緩和する作用があるので腹痛にも効果があります。(生理痛に使うこともありますよ。)タイソウ・ショウキョウ・カンゾウの3種類は消化機能を高め、元気をつける組み合わせです。

今回の処方は、『桂枝湯』の構成生薬のうち”シャクヤク”を増やすことで、シャクヤクの補血作用の他に腹部の痛みや痙攣、緊張を解す力をより強めています。これによって、『桂枝加芍薬湯』は、お腹を温め冷えを除き、痛みを和らげるので、冷えや自律神経失調による腹痛に効果があるのです。また腸の運動機能を調節するため、下剤は入っていませんが便秘・下痢のどちらにも使えるので便利な処方になっています。

胃腸の弱いお子さんのや大人のストレス性の腹痛、便秘・下痢に日頃から悩んでいる方は試してみると良いです。わりと飲みやすい味です。

さらに、ここに”コウイ”を加えると『小建中湯』になります。

↑コウイ

滋養強壮の効果があり、甘みが体の緊張を解す効果がある”コウイ”。緊張状態が強い場合や『桂枝加芍薬湯』で今一つというときの切り替えにオススメ。ただし、漢方薬の中では甘いので、甘いのが苦手な方には不向きかもしれません。最近では中高生の成長痛に使われるとこもあるようです。

”他にも症状があって選べない”・”現状はどちらが良いか”など、気になる事があればお気軽にご相談下さい。

(余談)

『桂枝湯』には加味方がたくさんあり、傷寒論では基本の処方になっています。風邪の初期・汗がじわじわ出ている状態・葛根湯が合わない人に処方されることが多く、「虚弱な方の風邪薬」としてよく使われていますが、『桂枝湯』は風邪薬以外にも、自律神経の機能を整えたり強壮作用により免疫力を高める働きも持っています。

虚弱な方やお子さんの保健薬としてご自宅に保管しておくと便利な処方ですよ。

___________________________________

【お知らせ】

2025年11月から営業日が変更になりました。

火曜~金曜 10:00~18:00となります。

※金曜日16時以降のご注文につきましては、翌週火曜以降の発送となりますので予めご了承下さい。

※その他、臨時休業やお知らせはホームページまたはX(旧:Twitter)でお知らせしています。

________________________________

💊漢方薬や健康に関するご相談はこちら🥼

【漢方調剤薬局 大数堂薬局】  

千葉県千葉市中央区登戸1-22-8 ローテローゼ登戸102   I 043-216-2993    

 当店のホームページはこちら