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ほとんどのドラックストアでは漢方薬コーナーがあり、CMでは「生薬成分由来の~」というセリフをよく耳にするようになりました。

少し前までは葛根湯や防風通聖散のような一部の漢方処方だけでしたが、最近は鼻詰まりや足の痛み、ストレス対策などバラエティに富んだ処方が並び、パッケージもおしゃれになっています。漢方薬が身近になってきているのは喜ばしい。

(↑最近購入したエキス剤)

今回は当店でも許可を受けている”薬局製剤”について。正式名称は”薬局製造販売医薬品”(許可申請の仕方は過去のブログを参考にしてください。)

決められた処方の中から、薬局内にある設備で調剤(製造)され販売できる医薬品のこと = 薬局製造販売医薬品と呼びます。

処方数は426処方、このうち漢方薬は約240処方あります。(意外にも作れる処方は色々あるのですが、手に入らない生薬も存在しているので実際に作れる処方はこれよりもやや少なくなります。)

(↑薬局製剤の取り扱いに関して書かれた書籍。この中に全ての薬局製剤が載っています。)

千葉駅の周辺に当店以外では、4,5店舗の薬局で取り扱いがあるようです。薬局製剤の剤型には、煎じ薬や散剤、軟膏剤などがあります。許可のある処方の大半は煎じ薬での製造になります。

さて、『煎じ薬』とは?

これは漢方薬の使い方の一つ。水につけた生薬を火にかけて煮て、煎じたその液体を服用する方法です。漢方を勉強する際によく使われる傷寒論には「右○味、水○斗(升)を以って煮て○升を取り滓を去り、○升を温服する」という服用方法が載っています。(○は数字が入ります。)

昔は今のように加工技術が発達していないので、身近な方法で効果を得られるように工夫していたようです。水以外の抽出方法はアルコールや油などがあります。海外の資料には色々な方法が掲載されています。

・メリット・

①生薬100%であること。(処方内容が決まっているので、添加物などは入れられません。)

②効果の出方は分かりやすい。(エキス剤よりも薬用量が多いです。)

・デメリット・

①手間が必要なこと。(煎じ用の機械があるのでそちらを使用すると楽です。メーカーによりますが、約10000円からあります。)

②保存期間が短いこと。(煎じた後は1,2日で飲み切る。散剤は除きます。)

大まかに挙げると以上のようなことが違いだと思います。一部の処方では注意が必要ですので、食物アレルギーや処方せんの薬との飲み合わせについては事前に相談して下さい。

時々「長期間飲まないと効果が分からないのでは?」と言われますが、これは薬用量が足りていないことが要因のケースも。せっかく服用を続けていてもこうなっては時間もお金ももったいないです。まず、合っているか判断するために、煎じ薬で試して、期待した効果が得られた場合にエキス剤に切り替えるという使い方がおすすめです。

煎じ薬をイメージする例え話ですが、「ドリップコーヒーは煎じ薬でインスタントコーヒーはエキス剤。」香りも味もしっかりあるドリップ。手軽で保管しやすいインスタント。どちらも良いですが、満足感が得られるのはどちらでしょうか。つまり、効果がより出やすい・より分かりやすいのはどちらのタイプか、ということです。

煎じ薬の作り方や当店でのお渡しの仕方などは、また改めてお伝えできるようにします。

・余談・

全国の薬局件数は約6万件(令和2年統計より)。大先生が当店を開局した頃(1980年代)は約60%の薬局が薬局製剤の許可を受けていましたが、2010年ごろには約13%に減り、現在の割合は調べても出てきませんでした。(おそらく10%は切っているでしょう。)特に、きざみ生薬(いわゆる漢方処方)を取り扱う薬局は絶滅危惧と言っていいくらい少ないのが現状です。

いつの間にか、レアな薬局になっていたのでした。

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