連日の猛暑日により、各地で最高気温を更新するニュースが毎日聞かれるようになりました。例年、異常な暑さだと言っていましたが今年はそれを超える異常さです。
6月頃から夏日が続き、例年よりも早く冷房を使用しているからか胃腸と太ももの冷えを感じるようになってきてしまいました。同じような方がいるのではないでしょうか?
昨年の8月には”清暑益気湯”をご紹介。
今月ご紹介するのは、ーーー『人参湯』(にんじんとう)です。

効能効果:体力虚弱で、疲れやすく手足が冷えやすいものの次の諸症:胃腸虚弱、下痢、嘔吐、胃痛、腹痛、急・慢性胃炎
構成生薬:ニンジン・カンゾウ・ビャクジュツ・カンキョウ
ニンジンには補気薬の1つで、消化吸収・新陳代謝の強化・滋養強壮作用など体力が衰えている場合に使うことが多い生薬。カンキョウは温める力が強く、組み合わせることで冷えによる体力の回復や胃腸機能の改善効果が高まります。身体全体が冷えて機能が落ちている場合はニンジン・カンキョウ・ブシの入った処方が良いです。
カンゾウとカンキョウの組み合わせは、『甘草乾姜湯』です。色々な処方に入っているカンゾウですが、ここでは気を補い巡らせる働きをし、2味の処方で、陽(温める力)を回復させる効果があります。
ビャクジュツは利水・補気・補脾作用により余分な水分を除き、胃腸機能を回復させる働きをしています。
生薬分類ではニンジン・カンゾウ・ビャクジュツは補養薬(補気薬)、カンキョウは温裏祛寒薬に分類されています。ここからも、冷えがあり機能が落ちている状態に使う構成になっていることがわかります。
人参湯の別の剤形に”丸薬”があり、『理中丸』(りちゅうがん)と言います。理には”ととのえる””おさめる”という意味があり、中(内臓)をととのえる丸薬という意味になります。処方名からも胃腸機能の失調に使う薬だとわかります。
今回の処方で注目したいのが”カンキョウ”です。
カンキョウは漢字にすると『乾姜』、同じ植物を使っているショウキョウは『生姜』。

(左がカンキョウ、右がショウキョウです。)
ショウキョウとカンキョウは、どちらもZingiber officinale Rosc.の根茎を使用していますが、調製(≒加工)の仕方によって効果が変わる面白い生薬です。ショウキョウは乾燥したひねショウガ、カンキョウは蒸したり熱を加えた後乾燥させたひねショウガを使います。(※ひねショウガは新ショウガを数か月寝かせた根ショウガのこと)
ショウガは加熱することで成分の1つである”ジンゲロール”から”ショウガオール”に変化し、より辛みが強くなり、温める力も強まります。
一方、中国ではショウキョウは生のひねショウガ、カンキョウは乾燥させたひねショウガという分け方をします。日本でのショウキョウと中国でのカンキョウが同じものになっていて、ややこしい現象が起きています。(日本のカンキョウは中国では使用しないそうです。)
ショウキョウは温性・身体の表面を温め発汗、カンキョウは熱性・身体の内側をしっかり温めるというように大まかな違いがあります。どちらにも健胃作用がありますが、ショウキョウには止嘔作用があるので吐き気のある風邪にはショウキョウをすり下ろして”生姜湯”にするのがオススメです。
暑さとの戦いの後は胃腸トラブルやそれに伴う風邪の相談が多くなります。すでに冷えを感じている方におすすめの処方です。
煎薬・丸薬、どちらも取り扱いがありますのでぜひご相談ください。
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