少し前に石川・”金沢大野”へ行ってきました。金沢駅から車で20分ほど、金沢港近くの地域で昔から醤油蔵があり”発酵”の文化が根強い地域です。金沢大野は、金沢港の近くにあり北前船の拠点として栄えた場所で、紀州からの醤油づくり文化が根付いたのどかな港町です。ここにある『ヤマト糀パーク』が今回のお目当てです。

薬膳が根付き始め、食事が健康にもたらす役割が見直されつつあるこの頃。薬膳の考え方の1つに、和食の基本食材の頭文字を使った”まごわやさしい”という言葉があります。最近、”まごはやさしいわ”に変わっていることに気付き、は=発酵食品が加わっていました。日頃取り入れている発酵食品と言えば、納豆・味噌・醤油くらい。麹は食事のバリエーションを増やすのにうってつけだろうと考えたためです。
『ヤマト糀パーク』は、ヤマト醤油味噌の体験型施設です。パーク内ツアーやみそボール体験、麹部という料理教室が体験でき、食べたり購入できる場所も併設されています。麹料理や調味料の他に、どぶろくを味わえるので子供から大人まで楽しめる場所でした。

思ったよりもコンパクトな施設なので、体験以外に2時間くらいあれば十分楽しめます。
さて、注目している”発酵食品”。漢方で使われる生薬には”発酵した”ものはあるのでしょうか?
・・・実はあるのです。
日本ではあまりなじみのない生薬ですが、”神麹(しんきく)”という生薬があります。これは小麦粉・フスマと数種類の植物を混ぜ発酵させたもの。日本の漢方薬では蒸したお米に酵母菌で発酵させたものを使います。
漢方薬では半夏白朮天麻湯や加味平胃散、化食養脾湯の構成生薬の1つになっています。
💊神麴(シンキク)とは?
杏仁や青蒿(せいこう)、赤小豆などの生薬を小麦粉と混和し発酵させたもの。酵母菌や脂肪油、精油、ビタミンなどが含まれています。中薬大辞典には『脾を健やかにし、胃を和ませる、食を消し中を調える』と書かれていて、消化器機能を取り戻す効果があるということが分かります。
中国では消導薬に分類され、胃酸分泌・胃腸の運動、食物の消化促進の働きがあり、食欲増幅・消化不良に役立つ生薬のこと。神麴以外には、山査子・麦芽・萊菔子などがあります。山査子(さんざし)はサンザシの果実、麦芽(ばくが)は大麦、萊菔子(らいふくし)は大根の種子です。結構身近な食品に消化促進効果があります。
💊麹と神麴の違い
甘酒や塩こうじで使われる”麹”は穀物+麹菌を発酵させた食品。一方”神麴は”小麦粉+薬用植物+麹菌を発酵させた薬という違いがあります。大きな違いは”生薬(薬用植物)”を加えているところ。生薬の特性を加えること・生薬の持つ抗菌作用により雑菌の抑制→麹菌の増殖有利という利点があるようです。

麹は手に入れやすい食品。塩麹など、商品化されているのもあるので日常使いしやすい物も。この地域にある飲食店『はなくま食堂』さんで初めて麹納豆を食べ、感動したので自作しようと乾燥麹を購入。量が多いので甘酒も作れそう。

お土産に、白糀・味噌・いしるを購入。
”いしる”は石川・能登で作られている発酵食品。日本3大魚醤の1つと言われているようです。イカやさば、イワシを使って発酵させていて、独特な香りと旨味の強い食品です。(ナンプラーに似ているような・・・)塩気を結構感じるので微調整しながら使うのをお勧めします。白糀は漬けたり、お味噌汁に加えたり。
ちなみに日本3大魚醤は”いしる”、”しょっつる(秋田)”、”いかなご醤油(香川)”だそう。
〈余談〉
”麹”と”糀”。読み方は同じ”こうじ”です。違いはどこから伝わったか。麹は元々中国から伝わった漢字で麦や穀物を使った発酵品、糀は日本由来で米を使った発酵品と違いがあるよう。ただし、明確な違いが決まっているわけではなく、こうじ全般は”麹”、米由来は”糀”とすることが多いようです。

訪れた日は暑かったので、麹を使ったのソフトクリーム。程よい甘みでさっぱりした味わいでした。
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